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マンズワイン株式会社 「日本ワインコンクール2022 金賞受賞ワイン テイスティング会」

掲載日:2022年9月29日

取材・執筆:田口あきこ(日本ワインなび編集長)

6品が金賞受賞、うち2品が最高部門賞も受賞

日本ワインコンクール2022において、マンズワイン「ソラリス」シリーズの6品が金賞を受賞、うち2品は部門最高賞も受賞。快挙を祝して銀座NAGANOにて「金賞受賞ワインのテイスティング会」が開催されました。

ソラリスはマンズワインが自信を持ってプレミアムと呼べるトップレンジのシリーズとして約20年前に立ち上げられたブランド。世界の銘醸ワインに肩を並べる品質を目標としています。

テイスティングワイン

1. ソラリス 千曲川 ソーヴィニヨン・ブラン 2021(金賞) 
2. ソラリス ル・シエル 2021  (銀賞・部門最高賞)
3. ソラリス 千曲川 メルロー 2018(金賞・部門最高賞)
4. ソラリス 小諸 メルロー 2018(金賞)
5. ソラリス・ラ・クロワ 2018(金賞) 
6. ソラリス マニフィカ 2015(金賞)
7. ソラリス 信濃リースリング クリオ・エクストラクション 2019(金賞・部門最高賞)

 

テイスティングの幕開けは「ソラリス 千曲川ソーヴィニヨン・ブラン 2021」。目が覚めるようなシトラスとトマトの葉様の青い香りに心奪われます。間違いなく日本のトップクラスに君臨するソーヴィニヨン・ブランの味わいでした。この香りの秘密の一つは「全房で朝摘み」していること。

2番目は西畑徹平氏(※1)のアイデアで生まれた「ソラリス・ル・シエル 2021」。通常のアッサンブラージュとは違い、複数の品種を同じタイミングで収穫して醸造する「混醸」という方法によって造られています。フィールド・ブレンドとも言われ、「なるべく人間の考えを入れずに自然に造る」という考えに基づいています。島崎社長が仰る通り、重層的な香りの立ち方が魅力的です。

3番目は金賞部門最高賞に君臨する「ソラリス 千曲川 メルロー 2018」。ソラリスというブランドの立ち上げ前から造られている、マンズワインファンには馴染みのあるワイン。2018年は良年で果汁糖度は過去最高を記録。アルコール度数は補糖や濃縮をせずに14%を超えています。

4番目は「ソラリス 小諸 メルロー 2018」。千曲川メルローはミドルレンジでこちらはトップレンジ。香りと味わいの複雑さにトップレンジの品質の高さを感じます。ミドルレンジの方が上の賞を取った理由について、島崎社長は「飲みやすさ」という点に触れていました。より多くの方に好まれる味わいである印象を私も受けました。
「ミドルレンジで最も生産量の多いものが部門最高賞ということは、ソラリス全体の品質レベルが高く評価されているということ」、と笑顔で語る島崎氏。

 

5番目は「ソラリス ラ・クロワ 2018」。カベルネ•ソーヴィニヨンが熟す希少な土地柄であることで知られる東山で収穫されたブドウを使用。成熟した黒系果実のフレーヴァーを心地よい酸とタンニンが引き締めています。メルロ100%の後に味わうと、カベルネがワインを引き締めてくれる役割を持つ品種であることがよく分かります。

辛口ワインの“トリ”として供出されたのは「ソラリス マニフィカ 2015」。トップレンジのカベルネ•ソーヴィニヨンとメルロで造られた至極のワイン。並べられたグラスの中で圧倒的な存在感を示していました。今回のテイスティングの中で最も重厚で複雑、奥行きのあるワインであることは言うまでもないことですが、このワインが島崎社長、松本氏(※2)、西畑氏の三者によって織りなされているということに感動を覚えながら大切に味わいました。

最後に供出されたのは「ソラリス 信濃リースリング クリオ・エクストラクション 2019」。ブドウを凍らせてから搾る製法により、一粒一粒の中で一番完熟した甘味の強い部分が最初に溶け出します。全体をいっぺんに搾ってから冷凍濃縮をかける手法でも濃い果汁はできるそうですが、良い部分も悪い部分も一緒に濃縮されてしまうそうです。また、ブドウ全体を凍らせることで果皮の細胞壁が壊されるので、香り成分が十分に抽出されるとのこと。手間暇がかかる上、なんと通常のワインの3倍の原料が使われているそうです。何とも贅沢なデザートワインですね。

 

日本ワインを牽引する者としての責任感と誇り

マンズワイン株式会社の前身である「勝沼洋酒株式会社」が設立されたのは1962年。それから60年間に渡り日本のワイン業界を牽引し続けています。

私が島崎社長と初めてお会いしたのは今から7年前。当時、島崎社長は小諸ワイナリーの醸造責任者で、現在は西畑氏がその職位に就かれています。
供出されたワインには、島崎社長や松本氏が培ってきた経験から生み出される「重厚な安定感」に加え、西畑氏による「新たな風」が吹き込んでいました。

2022年現在、日本には400を超えるワイナリーがあり、マイクロワイナリーから大規模ワイナリーまでその規模はさまざま。皆さまそれぞれ独自の「想い」を持ってワイン造りに取り組まれています。

ワインの向こう側にいらした島崎社長から私が感じ取ったのは、「日本ワインを牽引する者としての責任感と誇り」です。「60年の歴史」「現在」「これから」がどのように交じり合い、新たな味わいが生まれていくのか、毎年楽しみでなりません。

※1 西畑徹平…マンズワイン小諸ワイナリー 醸造責任者
※2 松本信彦…マンズワイン株式会社 常任顧問

日本ワインコンクール2022でのマンズワインの受賞ワインの詳細はこちら(https://mannswines.com/news/1055) マンズワイン公式HP『ニュース』「日本ワインコンクール2022」でマンズワインが6品金賞受賞の快挙!うち2品は部門最高賞も受賞!

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
日本ワイン検定 出題作成委員
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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