日本ワインなび

日本ワインの魅力を総合的に発信するサイト

日本ワインを支える人たちを訪ねて
心熱きプロフェッショナルに学ぶ人生の道しるべ

マンズワイン株式会社
マンズワイン小諸ワイナリー醸造責任者
西畑徹平さんに学ぶ
「初志貫徹する真っ直ぐな心」
(全8回)

第3回「ボーヌにてブドウ栽培者国家資格を取得」

掲載日:2022年4月20日

田口 酵母の泡がリリースされた後、西畑さんはブルゴーニュ地方のボーヌの醸造学校CFPPA(※1)でブドウ栽培者国家資格を取得、その後、ボルドー大学でワイン醸造士国家資格を取得されたのですよね?

西畑 2010年から3年間、小諸ワイナリーでワインの醸造をさせてもらって、その後に渡仏しました。

田口 西畑さんと同時に社内から渡仏された方はいらしたのですか?

西畑 歴代の松本信彦氏(現・マンズワイン常任顧問)も島崎大氏(現・マンズワイン代表取締役社長)も単独でフランスへ渡って、一人で勉強して帰ってきています。マンズワインでは1人行って帰ってきたら、次の世代の人がまた1人行って帰ってきて、という流れなんです。

深夜までフランス語の勉強をした日々

田口 西畑さんはフランス語はいつ頃から勉強されていたのですか?

西畑 学生の頃から勉強していれば良かったんですけどね。「フランスに行ってみるかい?」と会社から聞かれた1年前からフランス語の勉強を自宅で始めました。そして2013年4月に渡仏しました。

田口 お仕事もお忙しいでしょうに、帰宅されてからフランス語の勉強をされていたのですね。

西畑 深夜2時3時まで勉強していましたね。行く前にめげそうになったりして。


ボーヌ農業促進・職業訓練センター(CFPPA)
日仏文化協会HP『ボーヌ農業促進・職業訓練センター』(株式会社 日仏文化協会)より出典

フレデリック・マニャンでの研修

田口 渡仏してから初めの1年くらいはブルゴーニュにいらしたとのことですが、現地での出来事を聞かせていただけますか?

西畑 ボーヌでは1週間のうち2〜3日は学校へ行って、2〜3日研修に行ってと言うようなリズムでした。シーズンを通して色々な畑を見たり、造り手の人たちを見学できました。本場のワイン造りの現場に関われたというのがすごく良かったです。

田口 研修先はどちらだったのですか?

西畑 フレデリック・マニャン(※2)というネゴシアンです。モレ・サン・ドニの国道沿いにあります。お昼はシャンベルタンの畑に行って食べたり、休みの日は自転車で畑をまわったり色々な畑のブドウを見られたのが楽しかったです。車も持っていましたけど、敢えて自転車で。

田口 ブルゴーニュの畑を巡るなら自転車の方がいいですよね。いやぁ…毎日最高ですね。ちなみに他の国からも学生が通われていたのでしょうか?

西畑 基本的に職業訓練学校なのでフランス人の学生が多かったです。外国の人というよりは畑で働くために来た国内の方が殆んどでした。

ブドウの見た目だけが全てじゃない

西畑 それから、ブルゴーニュというといつも恵まれた気候の下で素晴らしいワインを造っているという印象ですが、やはり難しい年は日本と変わらず難しいんだな、と感じました。それから興味深いと思ったことがあります。それは、ブドウの見た目だけが全てじゃないということです。

田口 どういうことですか?

西畑 小粒で色が濃ければ必ず良いワインになるかというと、そうでもないということです。ぱっと見が良くてもワインにするといまいちになることもあると、現地で教わりました。例えばグラン・クリュの畑のブドウは少し粒が大きくてちょっと病気にかかっていても、ワインにするとそちらの方が味わいがあると言われたりしました。

田口 興味深いですね。

西畑 全部がそうじゃないとは思いますが、ブルゴーニュは歴史に裏付けられている部分があるから余計にだと思います。見えない部分というんですかね、そういうのを感じ取れないといけないのかなと。

(つづく)

※1 CFPPA…Centre de Formation Professionnelle et de Promotion Agricole / Beaune(ボーヌ農業促進・職業訓練センター)

※2 フレデリック・マニャン(Frédéric Magnien)…モレ・サン・ドニ(ブルゴーニュ地方のコミューン)に位置する1995年に設立されたネゴシアン。

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
Facebook
note

この記事をシェアしませんか?

LINE
日本ワインを支える人たち
株式会社ヴィラデストワイナリー代表取締役 兼 日本ワイン農業研究所株式会社「アルカンヴィーニュ」取締役 小西 超さんに学ぶ「志を高く持って生きる」(全8回) 株式会社テールドシエル代表取締役 池田岳雄さんに学ぶ 「自分の意思を貫く生き方」(全10回) ヴィンヤード『carraria(カラリア)』 トラストアンドアソシエイツ株式会社 代表取締役 中村大祐さんに学ぶ「自分の人生を大切に生きる勇気」(全7回) ヴェレゾンノート 東山ワイン研究所合同会社 櫻山記子さんに学ぶ「如何なるハードルにも正面から挑むタフな精神力」(全6回) 駒園ヴィンヤード株式会社 取締役社長 近藤修通さんに学ぶ「愛情を持って、謙虚に相手の声に耳を澄ます」(全10回) 株式会社ジオヒルズ ジオヒルズワイナリー醸造責任者 富岡隼人さんに学ぶ「未来へ繋げる視野と行動力」(全7回) 農地所有適格法人 株式会社 自然農園グループ ドメーヌ・イチ 代表取締役 上田一郎さんに学ぶ 「自分らしく、自然体で生きる」(全8回) 株式会社ショーナン 代表取締役 田中利忠さんに学ぶ「チャンスを受け入れる力・夢を描く力・実現する力」(全5回) マンズワイン株式会社 マンズワイン小諸ワイナリー醸造責任者 西畑徹平さんに学ぶ「初志貫徹する真っ直ぐな心」(全8回) 前小田原市長 加藤憲一さん率いる小田原ワインプロジェクトの皆さんに学ぶ「人の力」(全6回) 合同会社たてしなップルワイナリー工場長 井上雅夫さんに学ぶ「一期一会の精神でチャレンジする」(全8回) 日本ワインを支える人たちを訪ねて 国登録有形文化財 児玉家住宅 児玉寧さんに学ぶ「逞しく生きるための術」(全6回) テールドシエルワイナリー 栽培醸造責任者 桒原一斗さんに学ぶ「謙虚な姿勢で、一生勉強」(全8回) 有限会社萬屋酒店 高橋 憲・里栄ご夫妻に学ぶ「造り手の気持ちを伝えたい」(全8回) Domaine Bless 本間裕康・真紀ご夫妻に学ぶ「夫婦で力を合わせて『あったらいいな』を実現」(全9回) ドメーヌ・モン代表 山中敦生さんに学ぶ「人に優しく、自分にも優しく」(全7回)
テイスティング 日本ワイン×お家レシピ 日本ワインの基礎知識