日本ワインなび

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心熱きプロフェッショナルに学ぶ人生の道しるべ

マンズワイン株式会社
マンズワイン小諸ワイナリー醸造責任者
西畑徹平さんに学ぶ
「初志貫徹する真っ直ぐな心」
(全8回)

テイスティング特別編「“テロワールを表現すること”に着眼したソラリス(1) 」

掲載日:2022年4月20日

テイスティング ラインナップ

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1. ソラリス 千曲川 シャルドネ ビオロジック 2019
2. ソラリス ル・シエル 2020
3. ソラリス 千曲川メルロー ビオロジック 2017
4. ソラリス ラ・クロワ 2017
5. ソラリス 信濃リースリング クリオ・エクストラクション 2019
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西畑 今日テイスティングしていただくシリーズは、今までの王道ラインとはちょっと違うものになります。有機栽培や単一畑、樽の香りにできるだけ頼らずにワイン自体の味わいを尊重して仕上げたものなど、全て「テロワールをどうやって表現していくか」ということに着眼点を当てたラインナップです。

田口 他のソラリスのワインと醸造で何か異なる点はあるのですか?

西畑 新樽を全く使わないキュヴェなど樽の選択基準が大きく違っていると思います。樽由来の香りやタンニンの影響を減らすことで、ブドウとその土地にフォーカスできるのではないかと考えています。

千曲川産 有機栽培のシャルドネ

田口 1番は2019年。この辺りではグッドヴィンテージ(特に白)と呼ばれている年ですよね。こちらのシャルドネは有機栽培なんですね。

西畑 栽培から醸造まで有機認証機関JONAから認証を得ています。小諸ワイナリー自社で管理してる畑は基本的にはビオロジックベースの減農薬栽培です。それを始めるきっかけとなったのはこのシャルドネとメルロー畑でのブドウを造ってみて、他の畑でもできるんじゃないかという感触を持ったので認証を受ける畑を増やしています。有機栽培管理をして4年目から認証がとれます。


1.ソラリス 千曲川 シャルドネ ビオロジック 2019

田口 バランスが取れているのでスルスルと飲んでしまいそうですが…果実が凝縮しているのがわかります。凝縮した果実味にきれいな酸が溶け込んでいます。香りも味わいも一言では言い表しがたい複雑な白ワインですね。新樽を使っていないことによって、ブドウそのものの良さをダイレクトに感じられますね。

西畑 2019年は冷涼な夏だったので、酸をキープすることができました。この畑のシャルドネは花の様なニュアンスも感じられることが多いのでそういった点も面白いなと思っています。

フィールドブレンドのNEWソラリス ~ル・シエル~

田口 2番はラベルが付いていませんが、どのようなワインなのですか?

西畑 これはまだ発売されていないワインなのです。先ほどドローンで撮影していただいた畑のフィールドブレンドです。3種類のブドウを同じ時期に収穫して、”混醸”と呼ばれる醸造方法で醸造しました。


2. ソラリス・ル・シエル 2020

田口 貴重な機会をありがとうございます。ではお言葉に甘えて…。アロマティックですね。柑橘系のフルーツやフレッシュなリンゴ、アカシア、果樹の花の香りが溢れんばかりですね。(味わってみて)クリーンなワインですね。酸がしっかりとしていて…クリスピーな感じもありますね。

西畑 ソーヴィニヨン・ブランからきている酸ですね。シャルドネ50%、信濃リースリング30%、ソーヴィニヨン・ブラン20%です。あとは信濃リースリングからの香りを拾えるかどうか…。

田口 果実味がピュアですよね。ハーブを添えた白身魚のカルパッチョやシンプルに味付けしたシーフード料理に柑橘をギュッと搾って一緒に頂いてみたいです。長野で採れた旬の野菜のキッシュや、お塩で食べる天ぷらとも相性が良さそうですね。ワインが発売されたらお客様に出してみようと思います!


「2. ソラリス・ル・シエル」 のフィールドブレンドワインを生み出す畑

ブショネのリスクを減らすために

西畑 ところで、最近のヴィンテージから、コルクをDIAM(※1)に変えたんですよ。

田口 天然のコルクから合成の圧縮コルクに変えたということですよね?それはどんな理由からですか?

西畑 ブショネ(※2)のリスクがあるからと言うのが一番大きな理由です。また、世界的な需要増の影響を受け、お金を払っても私達の望むレベルの質の天然コルクを手に入れることが難しくなってきているというのもあります。全部ではないにしてもブショネになるとわかっているクロージャ―を選ぶことには、やっぱりちょっと抵抗があります。

田口 確かに、一定の割合でブショネになるとわかっているのにそのコルクを使い続けるのはお辛いですよね。

西畑 はい。それと非常に低いレベルの汚染であった場合にブショネに気が付かずに飲まれてしまいおいしくないと感じられてしまう方がいたら申し訳ないですから。レストランでもDIAMの方が安心して使えると言っていただけることもありました。

(つづく)

※1 DIAM(ディアム)…天然コルクを破砕して高圧力下の二酸化炭素で処理して圧縮形成したコルク。

※2 ブショネ…コルクの原材料もしくは成形の途中で発生したTCA(トリクロロアニゾール)の影響でボトル内のワインの品質が劣化すること。

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
日本ワイン検定 出題作成委員
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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