日本ワインなび

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駒園ヴィンヤード株式会社
取締役社長 近藤修通さんに学ぶ
「愛情を持って、
謙虚に相手の声に耳を澄ます」
(全10回)

第7回「造り手のエゴと市場評価のギャップに苦悩した日々」

掲載日:2021年6月1日

「造り手のエゴ」と「市場評価」のギャップ

田口 今までワイン造りをされてきた中で、苦労したエピソードがあったら教えていただけますか?

近藤 昔、テクニカルにワイン造りを行っていた時期は、「造り手のエゴ」と「市場評価」とのギャップを強く感じていました。

田口 テクニカルなワイン造りとは?

近藤 「テクニカルに」というのは品質を安定させる、たくさん作る、資材で個性づくりをする、簡単にいうと銘柄ごとに使う資材を配分しておけばヴィンテージが変わってもそのキャラクターは通せる。そういう造り方が一般的でした。そういう造り方をしている時には、「こういう造り方をしたいな」とか、「ああいう造り方を試してみたいな」という考えが「造り手のエゴ」だとしたら、市場評価的には、そんなことをせずに安定している方がいいんです(笑)

田口 昔は、ヴィンテージが変わっても毎年同じような味わいになるテクニカルな造り方をされていたということですね。でも近藤さんとしては、そうではない造り方をしたい、と。

近藤 はい。例えば当時は、お客様が或るヴィンテージのワインを好きになったら、次のヴィンテージも同じ味わいを期待して楽しみにしているわけです。実際には年が違えばブドウが違うので個性も変わるわけですが、当時はそれが通用しませんでした。

自分のワイン造りのスタイルへの確信

近藤 けれど、五味葡萄酒から始まり駒園ヴィンヤードのお客様はヴィンテージによる味わいの違いを楽しんでくだいます。それでようやくそのギャップが解消されました。今は日本ワインだけでも選択肢がたくさんあるじゃないですか。色々な方向のワインが造られていますよね。その中でも選んでいただけていることがすごく嬉しいし、このスタイルで大丈夫なんだなと確信できました。ただ、たくさん造れないので量は売れないですけどね。

駒園ヴィンヤード ワインショップ

自然災害の少ない土地柄

田口 ブドウ栽培をされていて、自然災害などでご苦労されたことはありますか?

近藤 それは殆どないですね。山梨でワインを造られている方は一様に感じていると思うのですが、特に甲府盆地内は自然災害が少ないんです。山に囲まれているので台風が直撃する予報になっていても逸れていったり。2014年に大雪が1m以上積もりましたけど、当時50年近く生きていてあんな雪は生まれて初めて見ました。雪は普段は殆ど降らないですし。寒いといっても、暑いといってもそれなりに何とか過ごしてきましたね。

田口 近藤さんが携わられてきた山梨の圃場は、自然災害が殆どなく、基本的にブドウ栽培に向いているところなのですね。

近藤 いや、僕が地形とかあまり深く考えていなくて、鈍感なだけかもしれません(笑)

オフの日の過ごし方

田口 最近、取材でみなさんにお聞きしているのですが、近藤さんはオフの日、何をされていますか?

近藤 オフはないんですよね。

田口 では、私が1週間畑をやっておくので休んでいいですよって言ったら何をしたいですか?

近藤 陰に隠れて畑を見に来ると思います(笑)いや、本当に何をしたらよいか…。そうだ、僕は絵を描くのが好きなんです。最近ではイラストレーターさんや漫画家さんは、手書きではなくて、液晶タブレットを使って絵を描くそうです。それを使って絵を描いてみたいですね。

田口 近藤さんは絵を描くのがお好きだったのですね。

近藤 はい、ワインのラベルのデザインは全部自分でやっています。昔、進路を決める時に美大に行こうかと思っていたくらいで。高校の時に美大に行くための予備校に通っていました。水彩画、油絵、日本画、彫刻、それぞれデッサンの描き方はそれぞれ異なります。そういうことを予備校で一から学びました。結局、色々迷った結果、車の世界に行くことになったわけですが。

田口 近藤さんは多才ですね。車のメカニック、ワイン造りに、更に絵を学ばれていたとは。

近藤 就職してからも油絵はずっとやっていましたが、匂いが強いので、 子供が生まれてからはパソコンで絵を描くようになりました。今後、定年を迎えて、もしも「もういいよ」って言われたらのんびり絵でも描こうかと。

(つづく)

近藤さんがデザインしているワインのラベル

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティを開催することが多いことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年春からワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー(長野県東御市)』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、講師業の傍ら、超新規ワイナリーの立ち上げ・畑仕事のお手伝いにも出掛ける。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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