日本ワインなび

日本ワインの魅力を総合的に発信するサイト

日本ワインを支える人たちを訪ねて
心熱きプロフェッショナルに学ぶ人生の道しるべ

株式会社テールドシエル代表取締役
池田岳雄さんに学ぶ
「自分の意思を貫く生き方」(全10回)

第7回「学びながら人生を謳歌して」

掲載日:2020年7月1日

スロベニアにて、聖マリア教会へボートで(池田さんより提供)

ブドウ栽培を見学しに海外へ

田口 ブドウ栽培を始められてお忙しい日々だと思いますが、池田さんのプライベートについてもお聞かせいただけますか?

池田 はい。忙しい日々ですけど、実は家内と海外旅行にも行っているんですよ。ただね、家内に怒られるんですけど、フランスとかイタリアみたいなメジャーな国じゃないんです。

田口 どちらに行かれるんですか?

池田 東ヨーロッパ です。

田口 それはちょっと意外ですね。

池田 あの辺りのワインいいじゃないですか。ブドウ栽培の見学に行こうっていうことで、私が勝手に2人分申し込んでおくんです。家内からは、「フランスじゃないの?スペインじゃないの?」って言われます。だから、「ヨーロッパって言っても広いんだよ」って言って(笑)

田口 ヨーロッパ旅行に行こうと言われて、蓋を開けてみたら東ヨーロッパだったらちょっとびっくりしますよね(笑)

池田 どちらかというと、大々的なワイナリーじゃなくて、各農家の人たちが自分たちで飲むためのワインを造っているところへ行きたくて。その繰り返しを家内に見せたかったんです。旧ソビエトから独立して変わっていく中で、「自分たちのワインは自分たちのワイン」としてガレージワインとして造っていたものを見て回って。何回かに分けて行きました。

田口 具体的にどちらの国に行かれたんですか?

池田 ドイツ、オーストリア、スロベニア、クロアチア、ジョージア・・・。アルメニアは紛争があったところなのでひと段落してから。ロシアにも行きました。ブドウとは関係ないけど人生観変えようっていってノルウェー にオーロラを見に行ったりとか。

田口 ブドウ栽培の合間を縫って常に人生を謳歌されているのですね。

池田 だからストレスの発散もできたのかなと。「お父さんが海外旅行に行くっていう時は、メジャーなところには連れて行ってくれない」と家内に言われていますけどね。でも今になっては感謝されています。

感動したワイン

田口 色々な国へ行かれた中で特に印象に残っているのはどこですか?

池田 一番感動したのはスロベニアのワインです。人口200万人くらいで、景色が良くて観光地みたいになっていて、世界遺産もあったりして。唯一東ヨーロッパで紛争にあっていないところでもあるんですよね。現地では農家巡りをしながらワインを飲めるんです。民家で飲ませてもらったワインがとても美味くて。共産主義国だったから自分たちが飲むものを作る。大手のワイナリー云々じゃなくて、小さいワイナリーがいっぱいできて、各々のストーリーを合わせるような・・・。そんなことを糠地でやっていきたいです。

蝶の保護活動とブドウ栽培の接点

田口 それから池田さんは、糠地地区で蝶の保護活動に力を入れていらっしゃるそうですが、そのあたりのこともお聞かせいただけますか?

池田 はい。糠地にたまたま蝶がお好きな画家さんがいらして、お手伝いさせていただいてます。蝶の保護をするというのは「自然と共存する」ということですから、農薬や殺虫剤を使わないということでもあります。それは美味しいブドウを育てるということとマッチしているので、協力しています。

田口 蝶の保護活動とブドウ栽培にはそういう接点があったのですね。実際、蝶を保護するためにどんな取り組みをされているのですか?

池田 榎(えのき)の木、コマツナギ、フジバカマなどを植えて、蝶が卵を産みやすい環境を作ってあげるんです。糠地地区の標高820mのところにバタフライガーデン、中間の950mにテールドシエルがあってふじばかまなどをいっぱいを植えています。更に1050mの一番高いところにその画家さんが住んでいますから、この地区で3つの拠点を設けている感じです。蝶の流れもわかったりして楽しいですよ。

蝶々がひと休みできる場所づくり

田口 蝶の流れとは?

池田 例えば、アサギマダラという蝶がいます。夏場にかけて東北の方へ行って、またここに戻ってくるんです。ブドウの収穫の季節になるとフジバカマを植えてあるところにアサギマダラが500頭くらい乱舞するんです。

田口 あの美しいブドウ畑に蝶が乱舞するなんて絵になりますね。

池田 はい。手で捕まえられるのでマーキングしてまた放蝶するんです。すると、毎年うちの蝶が愛知県で発見されるんです。

田口 蝶々って長野から愛知まで飛べるんですか?

池田 はい。一番遠くで発見されたのが九州の喜界島です。台湾まで行く蝶もいるそうですよ。糠地でアサギマダラにゆっくり休んでもらって、南の方へ行ってもらいたいです。私は今67歳なんですけど、77歳まで畑仕事をして、その後は蝶々だけやっていこうかなと考えています。


ブドウハウスとアサギマダラ(池田さんより提供)

(つづく)

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティを開催することが多いことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年春からワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー(長野県東御市)』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、講師業の傍ら、超新規ワイナリーの立ち上げ・畑仕事のお手伝いにも出掛ける。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
Facebook
note

この記事をシェアしませんか?

LINE