日本ワインなび

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日本ワインを支える人たちを訪ねて
心熱きプロフェッショナルに学ぶ人生の道しるべ

株式会社テールドシエル代表取締役
池田岳雄さんに学ぶ
「自分の意思を貫く生き方」(全10回)

第1回「第2の人生のはじまり」

掲載日:2020年7月1日

田口 今日はよろしくお願いします。本来でしたら、絶景が望めることで知られているテールドシエルさんへ直接伺ってお話を聞きたかったのですが。

池田 はい、本当に景観の良いところですよ。写真家の方も多くいらしています。世の中が落ち着いたらぜひお越しください。

田口 ありがとうございます。池田さんは定年退職されてから、未経験のワイン用ブドウ栽培という世界に転身され、遂に今年はワイナリーが建設されるそうですね。人生のセカンドステージを考えている方や、人生の岐路に立つ方にとって、良き道しるべになると思いますので、本日は、そのはじまりの時代からお話を聞かせてください。

池田 そもそも、なぜ還暦を過ぎてからブドウ栽培を始めたかというと、玉村豊男さんの『千曲川ワインバレー 新しい農業への視点』という本を手に取ったことがきっかけです。たまたま本屋さんで見つけて、立ち読みして面白いから買ったんです。


『千曲川ワインバレー 新しい農業への視点 (集英社) 』

田口 それはいつ頃ですか?

池田 2014年で、還暦を迎えるときです。前の会社で経営状態が最悪の時で悶々としていた時期です。経営状態がだめとかじゃなくて、思ったほど収益率が上がらなかった時があったんです。それで、今度新しいことを始めるなら全然違うことをやろうと。ブラブラして色んな本を読んでいました。

自分にもできるかもしれない

池田 シルクからワインへという内容のその本を読んで、あぁ、こういう考え方もあるんだなと。お蚕さんで栄えた東御市の荒廃地をブドウ畑に変えていく。その考えに感動して。私にもできるんじゃないかと思いました。実際に始めてみたらとても大変だったわけですが(笑)

田口 ワインは元々お好きだったのですか?

池田 いえ、そういうわけじゃないんですよ。その本を読んでから少しずつテイスティングの勉強を始めて、これは極めてみたいなと思いました。ワインていうのは美味しいんだなってわかるようになりました。

田口 それまではブドウ栽培やワイナリーについては考えていなかったんですか?

池田 考えていなかったです。私は小諸市の街中に自宅があるんです。町の中でごみごみしているので、ひょっとすればどこか別荘のようなところと半分半分の生活ができればいいなとは思っていました。

嫌なことも忘れるくらいの絶景

池田 今までは朝食だけ持たせてもらって、朝5時から畑仕事へ向かっていました。でも最近はほとんど糠地地区にいます。この景色を見ると嫌なことも忘れるんです。肉体的疲労も快感になってくるんです。精神的なストレスは身体によくないじゃないですか。腰は痛いけど、一晩寝ればまた朝働けるという感じです。

田口 嫌なことも忘れてしまうくらいの絶景を見ながらのブドウ栽培…。いいですね。

池田 最初はまさかこんなに気に入った土地が見つかるとは思いませんでした。それがたまたま約4ヘクタール。思ったより大変でした。最初は自分で売れる範囲で委託醸造して、残りのブドウを売ろうかなと思っていたんです。でも自分のオリジナルワインをできるまで耐えられたというのは、この景色に癒されているからだと思います。一日の仕事が終わるとベンチに腰かけて、日が沈むのを見るわけですよ。日が沈んでいくのをみると、「あぁ、ようやく1日終わったんだ」という感じで。ある意味で毎日が充実しています。


テールドシエルから見える夕陽(池田さんより提供)

(つづく)

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティを開催することが多いことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年春からワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー(長野県東御市)』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、講師業の傍ら、超新規ワイナリーの立ち上げ・畑仕事のお手伝いにも出掛ける。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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