第9回「ワイン好きの『あったらいいな』を実現」
掲載日:2024年1月16日
夫婦もそんな関係でありたい
田口「こちらのワインはそれぞれの品種の良いところを活かしつつ、バランスを取っているものが多いですね。」
裕康「夫婦もそんな関係でありたいなって。足りないところを補い合えるような。」
田口「まさにお互いを補い合いながら素晴らしいワインを生み出していらっしゃるお二人がそう仰ると、納得です。」
今後の展望
田口「畑を増やすかどうかということも含め、今後の展望についてお伺いしてもいいですか?」
裕康「今のところ畑を広げる気はないです。畑を広げて品質が落ちるのは本末転倒ですから。人が増えればもっと増やすかもしれないですけど。最終的な段階として、ここで泊まってゆっくりしていただくということが一番大きなところになってくると思います。地域貢献にもつながりますし。それから、今年からちょっとずつイベントを増やしていこうと思っています。ここでメーカーズランチやディナーをうちのワインでフルコースでペアリングをしていきたいですね。」
Domaine Bless の企業理念
田口「こちらには素敵な企業理念がありますよね?」
真紀「『ワイン好きのあったらいいなを実現』というのがうちの企業理念です。ワイン造りとはまたちょっと違うんですけね。それが企業のコンセプトです。」
田口「あったらいいな、と言いますと?」
真紀「例えばこういう環境で飲めて、ちょっと食事を楽しめて、畑がきれいで、その隣に庭があって…。コンパクトだけど、私たち夫婦が今まで飲み歩いて経験した全てをこの空間でいいとこ取りをしたいなって。「あくまで個人でできるレベルなので、そんな大がかりなことはできないですけど」
裕康「今は、新しくセラーを増設するのと同時に、6名お泊りいただけるコンドミニアムを2部屋増設して長期滞在もできるような形にしようかなと思っています。余市町にはワイナリーが多いのですが、見学不可で試飲もできないところが殆んどです。僕はそれがすごく残念だと思っていて。だから自分たちでやる時には、土日だけですけどうちのワインを必ず飲んでいただけるような環境を作りたいと思っています。」
田口「宿泊できたら最高だよね、こういう環境があったらいいな、っていうのをご夫婦で再現されてるということですよね?」
裕康「はい、そうです。昨年からワイナリーツアーも始めさせていただいていて、非常にご好評いただいてます。今年も7月から土日限定で循環バスが仁木町から仁木ヒルズさんとうちとの間で無料の循環バスを街が協力してくれて出してくれています。」
(おわり)
編集後記
もともとワイナリーを巡ることが趣味だった本間ご夫妻。「ワイン好きの『あったらいいいな』を実現」という企業理念をお互いの得意なことで補い合いながら体現している。
「結び」「縁」「雅」など、Domaine Blessにはユニークなワイン名が多い。それらのワイン名はご夫婦で決めているとのこと。「決める時にお互いの意見がぶつかって喧嘩にはならないのですか?」と恐る恐る聞いてみた。すると「楽しくて楽しくて、喧嘩にはならないです。」と満面の笑みを浮かべる奥様。
「悩んでいる時はワイン名やデザインのイメージは出てこないけど、作業をしている時に急に降り立っちゃう時があります。あと飲んでる時に書いていたメモの中にヒントがあったり。」と、仲良く会話を続けるお二人。Domaine Blessのワインの美味しさの秘密がわかった気がする。
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
・Facebook
・note