第8回「テイスティング編③」
掲載日:2024年1月16日
テイスティングラインナップ
5.MIYABI ~雅~ 2021
ドルンフェルンダー69% メルロー31%
6.Your Story ~Sweet~ 2022
ケルナー100%(遅摘み貴腐ブドウ)
MIYABI -雅- 〜花魁(おいらん)をイメージして〜
ドルンフェルダーとメルロでバランスを取り合って
裕康「『雅(みやび)』は縁起物である金魚をモチーフにしています。ドルンフェルダーが7割、メルロが3割。ドルンフェルダーは実がすごく大きい品種で収量が獲れて良いのですが、酸が全然ない品種なんです。酸のない品種ってそのまま醸造するとフラットな感じになってしまいます。」
田口「そこでメルロでバランスをとるということですね?」
裕康「はい、酸がない部分に関してはメルロを入れることでバランスをとっています。北海道のメルロはまだまだ栽培されている方が少ないのですが、この温暖化で完熟した果実を収穫できるようになりました。とはいっても長野などのメルロに比べると酸は高いです。それから、ドルンフェルダーに関しては、全房発酵でスパイシーさを出しています。」
真紀「色っぽくて妖艶な女性です。妖艶な甘さの中にスパイス感という影がある危険な女性みたいな。ハマる人はハマっちゃうやつです(笑)」
プロセスが同じでも、造る人によって異なるワインに
田口「ドルンフェルダーとメルロでバランスを取ろうと思っても、なかなかこんなに芸術のようなワインにはならないと思うのですが。」
真紀「同じ絵の具とキャンバスでも描く人が違うと、異なる絵になります。それと同じで、プロセスが同じでも造る人が違うと異なるワインになるのかな。」
Your Story -Sweet- 〜遅摘み貴腐のケルナー〜
裕康「こちらは遅摘み貴腐のケルナーです。『Your Story』は、うちらしい何かを残しつつ、今までのラインナップの切絵のシリーズとは全く別物にしたかったんです。でもどこか共通点が欲しいと思い、色々考えました。結果、梅結びの立体のところを残して、日本の和の要素をなくして横文字にすることで落ち着きました。」
田口「どのワインも一つ一つそういう想いが込められているのですね。『Your Story』というのはどういう意味でしょう?」
裕康「これは贈り物としての需要を見込んでいます。例えば退職して次の職位に就く時などにいいですよね。フレッシュ感のあるワインなので、そこと合わせて意味を込めて送ってもらうのもいいですね。退職する方にまた新たな気持ちを持ってもらう、というのももいいですね。」
田口「なるほど、これからの『あなたの物語』を、という意味を込められますね。」
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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