第2回「多品種栽培のメリット」
掲載日:2024年1月16日
Domaine Blessの敷地内で咲き誇るバラ
夫婦でギリギリ手が回る広さの畑
田口「畑の広さはどれくらいになりますか?」
裕康「(畑を指して)こちらで1.9ha、そちらで0.3ha。今、植え付けが2.2haです。」
田口「ご夫婦で畑の世話をされるには、それくらいの広さが最大限な感じですよね?」
裕康「はい。ギリギリ手が回る広さです。」
田口「基本的にはお二人で畑の世話をされているということですね?」
裕康「フルではないですけども地域おこしの方が一名時々手伝いに来てくれてるので助かっています。」
上空から撮影したDomaine Blessとブドウ畑
栽培しているさまざまなブドウ品種
田口「ブドウ品種はどのようなものを植えられていますか?」
裕康「2.2haで13品種です。黒ブドウが4種類。ピノ・ノワールが一番多くて、次にムニエ。ムニエを植えている方は珍しいと思います。あと、ドルンフェルダーというドイツ系品種とメルロです。白ブドウはシャルドネ、ピノ・グリ、トラミーナ、ピノ・ブランです。3年前にリースリング、ミュスカ、ゲヴュルツトラミネール、あとちょっと北斜面になるんですけど、オーセロワとソーヴニヨン・ブラン、アルザス系の品種をメインで追加で植えています。」
田口「もともとアルザスのワインがお好きでこのような品種を栽培されているということですよね?」
裕康「はい。それでアルザスの混醸品種を中心に植えています。」
多品種栽培のメリット
裕康「多品種栽培には色々なメリットがあると思っています。まず一つ目はリスク分散です。」
田口「どういうことですか?」
裕康「開花の時期などがちょっとずつ違うので、例えば花が咲く時期に天気が悪かったとしても色々な品種があることでリスクは分散されるということです。それから、収穫時期もうちは9月の下旬から10月の下旬まで1ヶ月ぐらいかけて品種ごとにずれていきます。もしも一種類しか栽培してないと一気に熟して、一気に収穫して、一気に仕込まないといけなくなります。その結果、ボランティアさんもたくさん必要になりますし、仕込む側としてプレス機の前で3日ぐらい徹夜しないといけないぐらいになってしまいます。」
田口「本間さんのところは多くの品種を植えることでリスク分散して、合理的に栽培されているのですね。」
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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