第2回「また来てね、という感じでやれる方がいい」
掲載日:2023年6月30日
高橋 憲・里栄ご夫妻
長野県産のお酒を中心に販売
田口「他県のものも幾つか置かれているようですが、こちらのお店では基本的に長野産のお酒が大半を占めているようですね?」
憲「企業家としてお店をやっていけてるわけではないので、長野県内のものというのが身丈に合っているかなと思っています。結婚した頃(29年前)は全国の有名なお酒を扱う専門店がたくさん出てきたところでした。全国の地酒を売るという方向性もありましたが、ここでお店をやるのにそんなに頑張って働くのもなんかちょっと違うなと。」
田口「どういうことですか?」
憲「うちは黒姫に遊びに来た人が訪ねてくる店なのに、一本でも多く売ってやろうというのは変な感じがしますよね(笑)また来てねと言う感じでやれる方がいいなと。」
田口「確かにそうですね。」
憲「(一本でも多く売ろうという)厳しい道よりも長野県内のお酒を中心に扱う選択肢を選んだというわけです。当時は新潟の日本酒全盛期だったので、『新潟はないのですか?』って方もけっこういらっしゃいました。ここは県境ですからね。」
甘口ワインブームの時代から辛口ワインを扱っていた
田口「色々なものを扱われている萬屋さんということですが、日本ワインの品揃えが素晴らしいことで有名ですよね。ワインにはいつ頃からご興味があったのですか?」
里栄「私の母が新潟の出で、岩の原ワインで働いていたんです。それで岩の原ワインは昔からずっと扱っていました。それでワインに関しても興味がありました。」
憲「当時は長野のワインはどれも甘かった時代です。それでも辛口ワインに少なからず興味を持ってくれる人はいました。」
田口「当時の日本は、ワインといえば甘口の時代でしたものね。その時代から辛口ワインを扱われているのは最先端だったでしょう。」
里栄「うちの祖母も岩の原のワインを健康のために一升瓶で寝る前に少しずつ飲んでいました。だから私は辛口から入っていました。」
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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