第1回「昭和初期から3代に渡る萬屋」
掲載日:2023年6月30日
2024年に90周年を迎える萬屋
田口「日本ワイン愛好家であれば一度は訪れてみたい萬屋さん。今日はよろしくお願いします。噂通りレアなワインがびっしりと並んでいますね。興奮します…。さて、高橋ご夫妻さまは何年くらいこちらのお店を経営されているのですか?」
憲「こちらこそよろしくお願いします。店自体は来年で90年を迎えます。僕たちは3代目。29年前に結婚して、僕が東京からこっちに来ました。」
田口「こちらは奥さまのご実家だったのですね。90周年ということは昭和初期から続いているということですね。扱う商品としては、最初に日本酒を置いて、徐々にワインを置くようになったという感じですか?」
憲「いや、ワインだけじゃなくて何でも置いています。うちは名前の通り『萬屋』だから。」
里栄「昔は花火も売っていたり、倉庫には キセルも残っていたり。」
黒姫駅前で必要なものを売る店としてスタート
憲「僕は結婚する時、東京のスキー屋で働いていました。辞めるといったらお客さんに『どうしてやめちゃうの?』って言われ黒姫で酒屋になるよと伝えると、そのお客さんたちが黒姫にスキーをしに来た時にうちで買い物をしていたという。もともとは駅前で必要なものを売るというのがスタートです。」
田口「観光客の人がお買い物をする感じですね。」
里栄「はい、それが楽しかったかな。」
憲「地元の人も日常のものを買いにくるし。そういうスタイルでスタートしているから、店の名前は萬屋のままです。」
敢えて専門店を名乗らず、自由なスタイルで
憲「『地酒の〇〇』とか『高橋ワインショップ』にすると縛られちゃうじゃないですか。わざわざそこを選ぶこともないかなと思っていて。美味しいな、面白いなと思ったものを置く、みたいな。」
里栄「世の中では、何かの専門店になるという流れはあります。お客さんもより深いものを求めるようになってくるから。それも流れなんだけど、今までやってきた九州の焼酎とかをやめちゃうのもどうかなと。『何置いているの?』と聞かれた時、『うちは萬屋だから』と言えるでしょう(笑)例えば、ワインショップを謳っているのにジンを置いていたら、違和感があるじゃないですか。」
田口「何か一つに縛られてしまわないように、ということですね。奥さまはお酒全般がお好きなのですか?」
里栄「はい、色々好きなんですよ。ワインももちろん好きだけど日本酒も好きだし、いいジンに出会うとこれもいいなと。」
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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