第4回「国際ワインコンクール赤ワイン部門でグランプリ受賞」
掲載日:2022年12月13日
国際ワインコンクール赤ワイン部門でグランプリ受賞
田口 「その後、井上さんのワインはコンクールで賞をとられたのですよね?」
井上 「ビギナーズラックということもあって、その翌年の1999年に仕込んだメルロがモントレーで開催された国際ワインコンクールの赤ワイン部門でグランプリをとりました。自分でも驚いてしまって…。」
田口 「そんなビギナーズラック聞いたことないですよ(笑)2年目にしてグランプリを取ったとは大快挙ですね。」
裏付けがないからこそ勉強に邁進した日々
田口 「グランプリを受賞されてどのように感じましたか?」
井上 「ワインの造り方がわかった、というよりも、なんで上手くいったのだろうと怖くなりました。グランプリをとってしまうと、その後に金賞をとっても順位が落ちたと思われるじゃないですか。そういうプレッシャーもあって、次の年はコンクールに出すのはやめようかなと。たまたまうまくいっただけで問題はきっとあるのだろうと思いました。」
田口 「一番上の賞をとってしまうと、そういうプレッシャーが出てくるものなのですね。」
井上 「裏付けがないだけに勉強しようという気持ちになりました。それでカリフォルニア大学デービス校でクラスをとったり、本を読んだり、ワイナリーアソシエーションの会合で色々な人に聞いてみたりしました。それからワインメーカーとしての歩みをずっと続けていくことになりました。」
たてしなップルワイナリー内でメルロを櫂入れしている様子(2022年)
グランプリ受賞の勝因
田口 「ビギナーズラックと仰るものの、実際のところ受賞の勝因は何だと思われますか?」
井上 「初年度はひどい目にあいましたから、変化に敏感になって対処するということが功を奏したのだと思います。温度管理や補酒をきっちりやりました。購入したお隣さんの畑のメルロのブドウがよかったということもありますね。」
田口 「やるべきことを丁寧にやった結果というわけですね。」
井上 「経験が浅いから、注意深くなる。なまじっか知識があると、聞いたらカッコ悪いとか思うじゃないですか。でも、わからないことだらけだったから、近隣の人に素直に聞けるということもありました。素直な人間にはここまで教えてくれるのか、っていうくらい教えてくれる方もいました。」
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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