第1回「旅行会社、NYでの百貨店勤務を経てワインの世界へ」
掲載日:2022年12月13日
海外への憧れから旅行会社に就職
田口 「井上さんはカリフォルニアでワイナリー経営とワイン醸造に取り組まれ、国際ワインコンクールでグランプリを受賞されたご経験があるそうですね。ワインの世界に入られたきっかけから、たてしなップルワイナリーでシードル造りをされる現在までのお話を聞かせていただけますか?」
井上 「私は子どもの頃、母に連れられて映画館でサウンド・オブ・ミュージックやウェスト・サイド・ストーリーなどを見ていました。それでアメリカの文化に憧れがあり、大学時代はアメフトをやっていました。海外に行き来できるような仕事に就きたいという思いから、最初は旅行会社に就職しました。当時(80年代前半)はみんな海外に憧れていたものです。しかし、学校の修学旅行担当になってしまいまして。」
田口 「海外に行けると思って旅行会社に就職したのに、国内中心の旅行を担当することになってしまったわけですね?」
井上 「はい。海外旅行にもたまには添乗できましたけどね。そうやって悶々としている時に、海外で手広くやっている百貨店に来ないかという話があったので移ることにしました。」
ニューヨークの百貨店勤務を経て、日系ワイナリーの社長に
井上 「それから最終的にニューヨークの百貨店で支店長として7年間働きました。」
田口 「ニューヨーク支店長!素晴らしいご経歴をお持ちなのですね。」
井上 「いえいえ、とんでもない。その後、カリフォルニアの日系ワイナリーが米国でのマネジメント経験の長い人間を探しているとのことで声をかけてもらいました。」
田口 「そこからワインの世界に入られるわけですね。当時からワインはお好きだったのですか?」
井上 「お酒は好きでしたけど、ワインはあまり飲んでいませんでした。だからそのお話を頂いた時にカリフォルニアにワイナリーがたくさんあることすら知らなくて。」
田口 「それでもワイナリーのマネジメントのお仕事を引き受けることにしたのは、何か理由があったのですか?」
井上 「今までは飲む側だったので、作る側も面白いんじゃないかと思いました。晩酌にも困らないだろうし(笑)それに、カリフォルニアのワイナリーで働くということは、海外にずっと居られるということなので。自分の気持ち的には海外で働くという事が第一優先事項でした。それで1991年に百貨店からワイナリーへ転職しました。」
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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