第7回「注目の品種 」
掲載日:2021年9月21日
ヤマ・ソーヴィニヨンの結実(2021年6月末)
注目の品種 ヤマブドウ、ヤマ・ソーヴィニヨン、ビジュ・ノワール
田口 ヴィティス・ヴィニフェラ系品種に力を入れる一方で、手間がかからず育てやすい品種も増やしているそうですね?
上田 ヤマブドウです。それから、ヤマ・ソーヴィニヨンやビジュ・ノワールなどのハイブリッド品種もだいぶ増やしています。自然栽培でできるだけやりたいので、無農薬エリアに植えました。管理が楽で良いですね。
田口 どんな風に楽なのでしょう?
上田 芽かきや除葉の必要がなく、病気にもかかりません。年に2回草刈りをするくらいで後は何もしなくて大丈夫なんです。でも、摘心した方が登熟も早いので今年は切ってみようかな。
田口 ヤマブドウの葉っぱ、きれいですね。
上田 かなり大きい葉っぱですね。鹿が葉っぱを食べてしまうんですよね。今は葉っぱだけですが、秋になってレイト・ハーベストする時期は食べ物がないのでブドウも食べてしまうんです。
田口 この辺りは鹿がいるんですね。
ドメーヌ・イチ公式FaceBook『ヤマブドウの葉を食べにくる鹿(2021年8月1日)』より出典
https://www.facebook.com/DomaineICHI/photos/pcb.316288470232456/316287190232584/
ヤマブドウのレイトハーベスト
田口 毎年レイトハーベストされているのですか?
上田 はい、11月半ばまで待って、アマローネみたくシワシワになってから収穫します。糖度が35度~40度近くになります。
ハイブリッドなので今のところ一般的にはブドウ自体の評価はあまり高くないですけれど、仕込み次第でとても良いワインになると感じています。
それから、総産量がすごくて、1本の樹から5キロ収穫できます。去年500本植えたのでこれ以上は増やしませんけどね。成木になったら5トン取れるようになると思います。
田口 今後はヤマブドウの評価が上がってくるといいですね。
上田 はい、上がってくると思います。それから、一部のヤマブドウはデザートワインとして販売する予定です。去年、試験的に造ってみて評判が良かったんです。
田口 糖度の高いヤマブドウから造るデザートワイン、楽しみです。
ヤマブドウの葉
とっておきの場所
上田 ここから車で少し上がったところに景色が良いところがあるので行ってみますか?
田口 ぜひお願いします。
田口(絶景を見ながら)すごい眺めですね。ここに来たら1日の疲れも癒されそうですね。
上田 僕が2009年に醸造を始めた頃、余市にあったワイナリーはうちとあと1件だけだったわけですが、近年ではかなりワイナリーが増えてきました。
田口 ますます切磋琢磨されることになるのですね。
皆さんがそれだけ集まるということは、やはりブドウ栽培に向いているところという事ですね。
ところで上田さんは、時期によってはオフが全く取れないこともあると思いますが、もし自分の趣味や好きなことをできる時間ができたら何をしたいですか?
上田 釣りと山歩きをしたいですね。春だったら山菜採りとか。何年も行っていないですけど、自然が好きなのでその中にいたいんです。
上田さんのとっておきの場所(ヤマブドウの畑の近く)
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
日本ワイン検定 出題作成委員
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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