第3回「日本初!オーガニックワイン認定と全日空の機内販売に3年連続採用の快挙」
掲載日:2021年9月21日
ベリーベリーファーム&ワイナリーHPより出典
http://shop2.organicwine.jp/
日本初のオーガニックワイン認定を取得
田口 2009年にベリーベリーファーム&ワイナリー仁木としてワイン造りをスタートされ、2011年に日本初のオーガニックワインとして認定を受けたということですね。
上田 はい、おかげさまで。
田口 自然派ワインについては国ごと、地域ごとに色々な用語がありますよね。日本においては、「ビオワイン」「自然派ワイン」という言葉はJAS規格ではないので誰でも使うことができるのですよね。しかし、「オーガニックワイン」については有機JAS規格として認められたブドウを用いて更に特定の醸造方法で造らないといけないということですよね?
上田 はい。自社農園の有機JAS認定農産物を使い、オーガニック醸造法を採用して、日本で初めてオーガニックワインの認定を受けました。
田口 有機JASの認定とオーガニックワインの認定はそれぞれ管轄が違うのですよね?
上田 畑の有機JAS認定は農水省、オーガニックワインの認定は農水省と税務署の管轄です。
全日空の機内販売に3年連続で採用
田口 日本初のオーガニックワイン認定を取得された後、上田さんが手掛けたワインは全日空の国内線の機内販売ワインに採用されたそうですね?
上田 はい、ブルーベリーのオーガニックワインを2014年から3年連続で国内全便で採用してもらえました。
田口 すごい快挙ですね。どういう経緯で採用されたのですか?
上田 と或る商社が全日空で機内販売するワインを探していまして、お声がけいただきました。オーガニックワインということが評価されたみたいです。色々な検査もして、ソムリエの資格を持っているキャビンアテンダントさんにもテイスティングしてもらって決まりました。
田口 ITエンジニアから全く違う世界に転職されたにも関わらず、「日本初のオーガニックワイン認定」「全日空国内全便でで3年連続採用」など、スケールの大きな快挙を成し遂げられて…すごいですね。
年々厳しくなる有機JAS規格
田口 上田さん以外にもオーガニックワインを造る方は多くいらっしゃるのでしょうか?
上田 いえ、オーガニックワインの認定を取得されるワイナリーさんはあまりいらしゃらないです。北海道では僕のところとあともう1件だけです。年々ルールが厳しくなってきているので、新しい圃場では僕のところも有機JAS規格は取っていないのです。
田口 どんなところが厳しくなったと感じられますか?
上田 例えばブドウの枝をワイヤーでとめるとき、テープナーという機械を使ってとめるのですが、これが禁止されています。
田口 ではどうやってとめれば良いのですか?
上田 麻縄で縛らないといけないのです。木の支柱も防腐処理しているのという理由で今は認められていません。
田口 なるほど、それはなかなか厳しいですね。認証を受けなくてもオーガニック的な造りをしているワイナリーさんはたくさんいらっしゃるとお聞きしますが、こういった背景があるのですね。
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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