日本ワインなび

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日本ワインを支える人たちを訪ねて
心熱きプロフェッショナルに学ぶ人生の道しるべ

株式会社ヴィラデストワイナリー 代表取締役 兼
日本ワイン農業研究所株式会社
「アルカンヴィーニュ」取締役
小西 超さんに学ぶ
「志を高く持って生きる」(全8回)

第8回 「僕にとってワイン造りとは」

掲載日:2020年7月1日

家でのお酒タイム

田口 小西さんはおうちではワインを飲まれるんですか?

小西 飲みますけど、毎日飲んでいるわけではないです。
うちに帰ったらリラックスしたいので、とりあえずビールです。もちろんワインも好きですよ。

田口 どんなワインを飲まれているのですか?

小西 最近はヴィラデストとかアルカンヴィーニュのワインが多いです。カンティーヌブランとか割と手頃なレンジのワインが多いですね。ヴィラデストでは高価格帯のワインもありますけど、勝手に家に持って帰って飲めるわけじゃないですから(笑)


(ヴィラデストワイナリー カンティーヌブラン)

造りたいワイン

田口 ところで、日本ワインの良さってどんなところだと思いますか?

小西 旅行した土地のワインを後で思い出しながら飲む楽しみとか、こういう風に知り合いになって、「あの人が造ってるワインだな」と思ってもらいながら飲んでもらえるというのは、日本ワインならではの価値だと思います。ただそれだけじゃなくて、飲んでみてちゃんと美味しいことが大事。日本の気候風土を反映して、海外のワインには無い、繊細でやさしくて、滋味深い日本的な味わいを楽しんで頂くのが、日本ワインの在り方だと思います。

田口 小西さんはそういったワインを造りたい、ということでしょうか?

小西 麻井先生から影響を受けたように、日本の風土を反映した、世界に通用するワインを造りたいと思っています。

僕にとってワイン造りとは

田口 小西さんにとってワイン造りとは?

小西 今の生活のほぼ全てです。僕からワイン造りを取ったら何もなくなりますから。
そういえば、野球の落合さんが何かのCMでこんな風に言ってました。「野球をやってて面白いと思ったことは一度もない」と。

田口 どういうことですか?

小西 ワイン造りはもちろん楽しいんですけど、苦しいことも多いです。むしろ日々の仕事は苦しいことの方が多い。でも目標に向けて走り続けています。僕にとってワイン造りってそういう存在です。

これからやるべきこと

小西 ワイン造りって一代で終わることではないと思うんです。ブドウの樹は何十年も生きるものですし。一度始めたワイナリーというのはすぐになくなるものではないですから。ここも何百年も続いていけるような場所にしたいと思っています。そういう基盤を作っていかないといけないとは思っています。

田口 玉村さんが始めたブドウ畑を小西さんが次の世代に継いでいく、ということですね。

小西 はい。この10年、20年でもだいぶ変わりました。これから20年すればかなり変わっていると思います。ワイン造りをやる方も増えているでしょうし。10年前には想像もできなかったことです。

田口 千曲川ワインアカデミー卒業生の中でも、多くの方が畑を始められましたね。

小西 はい。千曲川ワインアカデミーをやることによって、この周辺を中心として何十人もの方が移住して、就農して畑を始められました。委託醸造でワインを造る方、すでにワイナリーを構えた方もいます。

田口 ワイナリーが増えていくことで何か良い影響はありましたか?

小西 ワイナリーが増えることによって、この地域に元気が与えられていくような。ヴィラデストを始めた頃は、この1軒があるだけでした。でも集積することによって注目を浴びるし、ワイナリー同士で情報交換をすることで技術力をアップすることもできます。それから発信力も高まるし、将来的には色々な設備や機械を共有するという可能性も生まれてくると思います。

田口 地域も各ワイナリーも共にパワーアップしていけそうですね。

小西 はい。今はまだ発展途上段階だと思いますが、更に集積してくれば色々なメリットを活かせるようになるはずです。もう少し仲間が増えるように努力していきたいと思います。これまでアカデミーを5年やってきましたが、全国各地でみなさんが活躍されることによって活気づいてきました。それをもう一段高められるように、みんなで一緒に頑張っていきたいと思います。

(おわり)

編集後記

日本酒造りから突如ワイン造りの世界へ。そこで出会った恩師達から深い影響を受け、本気でワイン造りに取り組み、結果を出されている小西さん。長時間のインタビューを終えて、「逆境でも志を高く持って取り組む」という大事なことを教えて頂きました。

日本ワインなびはまだ小さな存在ですが、私も志を高く持って、本気で日本ワインの魅力をお伝えしていきたいと思います。私は、千曲川ワインアカデミーで小西さんに1年間お世話になりました。いつも穏やかで温かく、そして真っ直ぐな先生です。時おり、ふいに面白い話をされるので、いつもとのギャップにみんな大笑いして、笑顔の絶えない授業でした。美しいブドウ畑が見える教室で朝から夕方まで勉強して、夜は日本ワインを持ち寄って夢を語り合う。東御市での楽しく充実した思い出が蘇ります。


(千曲川ワインアカデミー懇親会にて 2018年3月撮影)

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
日本ワイン検定 出題作成委員
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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