日本ワインなび

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株式会社ヴィラデストワイナリー 代表取締役 兼
日本ワイン農業研究所株式会社
「アルカンヴィーニュ」取締役
小西 超さんに学ぶ
「志を高く持って生きる」(全8回)

第3回「なんとかなるじゃなくて、なんとかする」

掲載日:2020年7月1日

ニュージーランド訪問

小西 プロヴィダンスの辺りは結構雨が多くて。そしてワインの歴史が無くてもフランスに負けないような素晴らしいワインを造っている。だから日本でも高い志を持ってすれば世界に通用するワインが造れるんだ! 麻井先生のそういう話に僕は一番影響を受けました。

田口 実際にニュージーランドに行かれてみて、ワイン造りをするには日本のように厳しい自然環境だと思われましたか?

小西 実際に行ってみたらね、そこまでワイン造りに厳しい場所だとは思いませんでした(笑)ただ、日本に似ている部分はあるなと思いました。プロヴィダンスのある北島のオークランド周辺は結構雨が多くて、日本と同じように雑草が多いという印象を受けました。日本よりも恵まれてはいますけどね。カリフォルニアとかオーストラリアのようにすごく乾燥してるというわけではないんです。乾燥してるところに 行くと雑草が生えていないんですよね。

なんとかなるじゃなくて、なんとかする

田口 雨の多い環境の中でも美味しいワインができているのだから、なんとかすれば日本でもいいワインができるって思われましたか?

小西 なんとかなるじゃなくて、なんとかする!っていう志を持ってワイン造りなさいという感じです。

田口 ワイン造りだけじゃなくて、どんなことに関してもそういう気持ちで取り組むことが大事ですね。

小西 ウスケボーイズに出てくる主役の3人は今でも親しい間柄ですけど、みんなそういう同じような影響を受けているんだと思いますよ。

田口 最初から諦めていては良い結果が出せませんよね。

小西 はい。それから、当時の日本の場合は売り物にできないような生食用のブドウ…言い方は悪いですけど、くずブドウを使ってそこそこのワインを造るのが「技術」だ、という雰囲気がありました。麻井先生がよく仰っていましたけど、それじゃあいいワインが出来るわけない。最高のブドウを造るんだという気持ちでやらないと、世界に通用するような良いワインはできない。そのためには努力を惜しまず、労力を惜しまず、やれることは何でもやろうということで本当に何でもやらされました。

蔵を清潔に保つこととワインの味わいの関係

小西 それから、亜硫酸(※1)を使わなくても綺麗なワインを造れるということを麻井先生から教えて貰いました。プロヴィダンスでは亜硫酸を使わなくても、綺麗なワインができていたんです。ちょっと誤解されていることなんですけど、麻井先生は「自然派」が良いとは全く思っていなくて。当時は「自然派」とか「ビオ」なんて言葉も使われていなかったですね。

田口 亜硫酸を使わなくても綺麗なワインを造ることができるとは?

小西 例えばサンクゼールでワインの醸造をしている時、ピジャージュ(※2)をすると醪(もろみ)がはねて壁が汚れるんです。麻井先生はその汚れた壁を毎回ご自分で拭いていたんですよ。たぶん、僕にその姿を見せて伝えたかったんだと思います。何でも清潔に保つことがワインの味わいにも表れる。そういった考えを教わりました、

田口 清潔に蔵を保つことがワインの味わいに表れるとは具体的にどういうことですか?

小西 清潔にしないと色々な雑菌が湧いてきますから、オフフレーバー(※3)の元になります。亜硫酸を入れればある程度はそういう香りを抑えられますけどね。 ブロヴィダンスは亜硫酸を殆ど使っていないのにも関わらずクリーンなワインを造っているんです。

田口 よくわかりました。

小西 麻井先生はワイン醸造のプロで、ブドウ栽培についてはご専門ではなかったんです。でも玉村さんの畑に来た時には畑に出て作業をされていました。ただ、麻井先生が来ると雨が降るんですよ。雨男っていうか(笑)

田口 それは面白いエピソードですね。

小西 でもね、雨が降ってきたからやめましょう、という感じではなくて。雨降ってるけどカッパを着てでも作業するぞ! という方でした。そういう根性を若者に伝えたかったんだと思います。

(つづく)

※1 亜硫酸…主にワインの酸化を防ぐために市場に出回る殆どのワインに添加される。正確には二酸化硫黄と呼ばれる。

※2  ピジャージュ…櫂入れ。主に赤ワインを造る工程のひとつ。アルコール発酵で生じた二酸化炭素の力で、ブドウの皮や果肉が浮いてきて発酵槽の上部に果帽が形成される。温度調節、色素などの成分抽出、果醪中の酵母への酸素供給の目的で行われる。

※3 オフフレーバー…ワインの不快臭。

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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