日本ワインなび

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心熱きプロフェッショナルに学ぶ人生の道しるべ

株式会社ヴィラデストワイナリー 代表取締役 兼
日本ワイン農業研究所株式会社
「アルカンヴィーニュ」取締役
小西 超さんに学ぶ
「志を高く持って生きる」(全8回)

第2回「最初から諦めちゃだめだ」

掲載日:2020年7月1日

麻井先生から受けた影響

小西 当時僕は28歳だったんですけど、 サンクゼールでもそれぐらいの年齢の方が多かったんですよ。だから若い世代ばかりのところに麻井先生が来てくれて。本来はT社のために来てるんですけど、 サンクゼールとしても麻井先生のお話を 一緒に聞けるというのは良いことなので、 サンクゼールの久世社長も快く引き受けてくださいました。1998年から始まって 2002年までの間、玉村さんのブドウを毎年収穫して サンクゼールに持って行って、仕込みをさせてもらっていました。 そういうことをしばらくやっていました。

小西 仕込みの時とか瓶詰めする時とか折に触れて麻井先生は来てくださって。大体2~3泊ぐらいして行かれました。 仕込みの時は2~3週間ぶっ通しなんですけど。それ以外でも長野に来ては一緒に作業をしたり、夜も毎晩飲みに連れて行ってくれて、 色々なお話を聞かせてくださいました。

田口 その時はやはりワインの話をされていたんですか?

小西  はい。ただその当時は長野駅周辺でワインを飲めるお店ってほとんどなくて 。だからだいたい居酒屋さんです。 ビール、日本酒、焼酎とかを飲みながらです。麻井先生が書かれた『ワインづくりの思想』っていう本があるんですけど、ちょうどその本を執筆されている時だったんです。


ワインづくりの思想(中公新書)

田口 日本でワインの仕事に携わる多くの方が読まれている本ですね。

小西 はい。これを書くために色々と考えていたことを一緒にご飯を食べながら聞かせてくださいました。麻井先生はすごくおしゃべりな方なんです。 よく食べてよくしゃべる方でした。 そういう話を毎晩のように聞いて、深い影響を受けました。その頃は、レンタカーを借りて運転して朝から一緒に移動して。サンクゼールにいる時、お昼も一緒でしたし、夜も一緒でした。本当に一日中ずっと一緒にいて色々な話を聞かせてもらいました。だから『ワインづくりの思想』の本を読むと、あの話かなとか思い出したりして。麻井先生からは本当に深い影響を受けました。

田口 やはり麻井さんには、小西さんに深い影響を与えるパワーがあったということでしょうか?

小西 はい。ありました。強い気持ちっていうか。ワインだけじゃないんですよね、ウイスキーとかお酒全般に関して技術のことだけではなくて、 文化とか 歴史とか、そういうことにも造詣の深い方で。 色々な本を出されていますけど、物事を幅広く捉えている方でした。


当時の写真 向かって左:玉村さん、真ん中:小西さん、右:麻井先生

志は高く

小西 当時、日本ワインの評価は低くて。 実際に今と比べれば 確かにあんまり品質は良くなかったと思います。あとは、造る方達が最初から諦めていました。 日本は雨が多くて、ブドウを育てるには向いてない。 だから頑張ったところで海外のようなワインは日本では作れないよ。 そういう諦めている感じが 普通だった。そういう時代だったと思います。でも麻井先生はそうではなかったんです。志を持ってブドウ造りから取り組んでいけば、日本でもいいワインができるはずだ。最初から諦めちゃだめだと、ずっと言い続けていました。

田口 ウスケボーイズの小説や映画でもそのように書かれていましたね。

小西 ウスケボーイズに出てくる3人も、当時僕と同じ20代で。若手にそういうことを熱く語って、君たちは諦めの感情じゃなくて、本当に頑張ってやれば世界に通用するワインが造れるんだよ、そのために頑張りなさい。そういうことをずっと仰っていました。

田口 志を高く持つことを若者に伝えていらしたのですね。

小西 その頃、ニュージーランドのワインが世界的に有名になりだして。ちょうどその頃、麻井先生もニュージーランドに行かれて。ニュージーランドという国はワインの歴史は無いんだけど、すごいワインを造っていると。オークランド、北島の方は結構雨が多いんですよね。南島はドライですけど。北島は雨が結構降る中でも良いワインができていて、特にあのオークランドからちょっと行ったマタカナというところにある、プロヴィダンス(※1)で麻井先生が感銘を受けたと仰っていました。

僕自身も3回くらいプロヴィダンスに行きました。実際、麻井先生が仰っていたプロヴィダンスってどんな感じなんだろう? それを知りたかったんです。それに石井もと子さん(※2)がプロヴィダンスのオーナーと親しくされているので、そういう関係もあってアポを取ってもらいました。石井さんと一緒に行ったこともあります。

田口 実際に、確かめるためにニュージーランドに行かれたのですね。

(つづく)

※1 プロヴィダンス…ニュージーランド北島、オークランドから北へ60kmのマタカナの地にオーナー兼ワインメーカーであるジェイムズ・ヴルティッチ氏が1990年に設立したワイナリー。

※2 石井もと子…ワインジャーナリスト。日本ワイナリー協会顧問。


『Providence Vineyard HP』より出典
https://www.providencewines.com/

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティを開催することが多いことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年春からワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー(長野県東御市)』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、講師業の傍ら、超新規ワイナリーの立ち上げ・畑仕事のお手伝いにも出掛ける。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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