第4回「念願だった長野での生活がスタート」
掲載日:2023年2月25日
念願だった長野での生活がスタート
田口「ドイツでの生活を終え、寧さんは長野に帰ってくる決意をされるわけですよね?」
寧「ここ(東御市)に戻ってきたのは潜在意識が働いたせいなのかもしれません。」
田口「どういうことですか?」
寧「小さい頃からおじいちゃんとおばあちゃんが畑をやっていたので、お盆などまとまった休みの時に来て、キュウリやトマトを収穫していました。中学に入ってからは豆トラをかけたりもして。それで土いじりに対して抵抗感がないというか。」
田口「オーストラリアやドイツでの経験だけでなく、子供の頃からの農業経験がベースになっているのですね。」
寧「そうですね。ドイツで暮らしていて娘が幼稚園を卒園する時、父親から『ワイン用ブドウ栽培をできる環境もあるし、土地もあるから帰ってこないか』と言われて。20代前半の時、やりたくてもできなかったことを今回はやれると思って帰ってきました。」
屋号紋のヤマタマ印がラベルに使用されている
日本でも更に広がっていくであろう自然志向
田口「遂に念願が叶って、憧れていたパーマカルチャーの生活を目指せるようになったというわけですね。さて、寧さんが無農薬や有機農法にこだわる理由をお伺いしてもよいですか?」
寧「やっぱり自然環境を守るため、ということが一つの理由ですが、ドイツでは皆意識が高くてすでにオーガニックのマーケットができていたんです。だからそのうち日本もそうなっていくだろうなと思いました。」
田口「日本でもオーガニックのマーケットが広がることを見据えて、取り組まれているということですね。確かに日本でも年々、自然志向が高まっていく傾向はありますよね。」
寧「それから、『消費行動は政治的活動でもある』と仰る方もいるじゃないですか。自分のお金がどこに流れるか。どこにエネルギーが流れるか。そういった意味では、自分たちも気持ち悪くないですし。農薬を使って罪悪感に苛まれることもありません。残留農薬を摂って心配することもないですし。安心してそれを良いと言ってくれる人にお客さんになってもらう方がいいかなと思っています。」
児玉家で飼っているニワトリ
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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