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株式会社ジオヒルズ
ジオヒルズワイナリー 醸造責任者
富岡隼人さんに学ぶ
「未来へ繋げる視野と行動力」
(全7回)

第4回「水道も電気もないところからのワイナリー立ち上げ」

掲載日:2021年7月19日

水道も電気もないところからのワイナリー立ち上げ

田口 ワイナリーを一から立ち上げるのは大変なことだった思います。特にご苦労されたことはありますか?

富岡 うちは他のワイナリーさんに比べて初期投資が格段に高いかもしれません。ここは市の土地だったので、借りるということができませんでした。だから土地を購入することになりました。ただ、農地ではなかったので、農転(※1)しなくてもすぐに建物が建てられたのは救いでした。
それから、水道も電気もなかったので、そこからのスタートでした。水道は200mくらい引っ張ってきています。電気もないので電柱を立ててもらうことから始まりました。

田口 一大事業ですね。

みなさまからの支援のおかげで

田口 資金調達はクラウドファンディングなどを利用されたのですか?

富岡 クラウドファンディングではなく、出資していただいてそのお金をワインや中棚荘の宿泊券などで返していくスタイルです。出資していただいた方の殆どが中棚荘のリピーター様です。父が続けてくれている事業の繋がりのおかげでこうやって支えられています。ワイナリーを立ち上げられたのは、中棚荘を応援してくださる皆さまが集まってくださったおかげです。

圃場のテロワール

田口 圃場のテロワールについて教えていただけますか?

富岡 ここは強粘土の土壌で、ここの特産が白土馬鈴薯という芋なんです。芋が大きくなろうとすると土の力が抑え込むので、割と小ぶりです。でんぷん質が多くて肌が白いのが特徴です。関西の料亭などで使われる高級品種です。

田口 白土馬鈴薯、一度いただいてみたいです。しかし強粘土というと大変なことも多そうですね。

富岡 雨が降るとぬかるんで、バックホーンのキャタピラが外れるくらいの強粘土です。そして乾燥するとカチカチになります。栽培的にも大変な面はありますが、メルロは特に良いものができているかなと思っています。ここはもともと海底だった場所が隆起してできたところで、ミネラル分も含んでいます。標高も高いですし、四方から吹く風がブドウの嫌いな湿気は飛ばしてくれます。それでいいものができると思っています。

田口 鳥や獣などの被害などは大丈夫ですか?

富岡 この辺りはトンビが住んでいるので、他の鳥は寄ってこないんです。ありのままの自然の形がブドウにとってすごく良い、という環境です。

田口 雨量についてはいかがですか?

富岡 東京の半分以下の降雨量です。雨が少ない地域なので、溜池が300個くらいあるんです。ワイナリーの前にあるものが一番新しくて大きい溜池です。この辺りの溜池は蓼科町の女神湖から60kmくらい引っ張ってきています。それくらい雨が少ないところです。実際、大きな病害はありません。


ジオヒルズワイナリーの前方に広がる溜池

働く両親の背中を見て

田口 毎日お忙しいことと思いますが、オフの日は何をされているのですか?

富岡 忙しくてなかなかまとまった休みは取れないんですよね。僕はワイナリー営業中でも、子ども2人を連れてきて放牧しています(笑)僕も子供の頃、同じような感じだったんです。父は旅館業でしたので休みなんてありませんでした。父は僕を背中におぶりながらバックホーを運転していたり。仕事人としてかっこいいなと思っていました。兄弟4人中、3人がこの地元に戻ってきたというのは、やはり働く両親の背中を見ていたことが影響しているのだと思います。

(つづく)

※1農転…農地転用の略語。農地を耕作以外の目的に転用すること。農地の転用は農地法により規制されている。

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
日本ワイン検定 出題作成委員
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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