日本ワインなび

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日本ワインを支える人たちを訪ねて
心熱きプロフェッショナルに学ぶ人生の道しるべ

株式会社ジオヒルズ
ジオヒルズワイナリー 醸造責任者
富岡隼人さんに学ぶ
「未来へ繋げる視野と行動力」
(全7回)

第1回「ベトナムに残るか、日本に帰るか」

掲載日:2021年7月19日

田口 お久しぶりです。富岡さんは、中棚荘(※1)から分社化したジオヒルズワイナリーを2018年に立ち上げられたところですね。
人生の岐路にある読者の方々にとって、人生を開拓するよき道しるべになると思いますので、本日はそのはじまりの時代からお話を聞かせいただけますか?

富岡 はい、よろしくお願いします。

契約農家として始まったブドウ栽培

田口 ワイン造りの道を選ばれたきっかけを教えていただけますか?

富岡 父が経営している中棚荘で、2002年からワイン用ブドウを栽培しています。今までは旅館をやりながらだったのであまり規模を広げずに小さくやってきた圃場を、ちょっとずつ広げてきました。2015年に小諸市が広域ワイン特区(※2)に入り、特区の量を収穫できるようになってきたので、ワイナリーを立ち上げることになりました。

田口 もともとブドウ栽培をされていたのは、マンズワインさんの契約農家としてですよね?

富岡 はい。マンズワインさんが試験的に標高の高いこの御牧ケ原で栽培してみたいとのことで、契約農家を募集したんです。その時に父が手を挙げました。

田口 それでこの辺りでは富岡さんのところが最初にブドウ栽培を始められたわけですね。もともと圃場は持っていらっしゃったのですか?

富岡 ちょうど芋畑の横の荒地が斜面になっているので、ここが良いのではないかということで耕しました。

田口 最初に植えられたのはどんなブドウ品種でしたか?

富岡 最初に植えたのはシャルドネでした。当時、マンズワインの栽培責任者の方が父の同級生で。そういうこともあってオリジナルの白ワインを造ってもらっていました。その3年後くらいにメルロも植えました。


2020年秋に収穫されたシャルドネ
ジオヒルズワイナリー公式Instagram『シャルドネの収穫(2020年10月1日)』より出典

ワイナリー立ち上げのきっかけ

田口 そして、小諸市がワイン特区に入ったことがきっかけでワイナリーを立ち上げることになったのですね。

富岡 千曲川ワインアカデミー(※3)もちょうど開校したところでした。うちはもともと赤ワインはヴィラデストワイナリーに委託醸造してもらっていたんです。だから小西さんとも知り合いで。父もワイナリーをやりたいと思っていたので、ワイナリーを立ち上げることになりました。

田口 そうでしたか。

富岡 栽培はその時点で15年やっていたので何とかできる。でも醸造をするにあたっては、父が学校に通うよりも若い者が覚えた方がいいだろうということで。それで僕がアカデミーに通うことになりました。

ベトナムに残るか、日本に帰るか

田口 ワイナリーを立ち上げる前、富岡さんはベトナムで暮らしていたのですよね?

富岡 はい、ベトナムにいました。2015年当時、ベトナムは中国と南シナ海問題で荒れている時で。ビザの取得が難しくなって、日本人の僕も長期的に滞在することはできそうもない状況でした。そのままベトナムに腰を据えるか、日本に帰って仕事を探すか考えました。

田口 人生の岐路に立たれたたわけですね。

富岡 はい。ブドウ栽培は僕が中学生の時から始めたことだったので、ずっと手伝っていましたし、学校で一から醸造について学べると聞いたので、日本に戻って通うことを決意しました。

田口 最近では新規でワイナリーを始められが多くいらっしゃいますが、一般的にはブドウを栽培するための土地を見つけるところから始まるわけじゃないですか。そう考えると、富岡さんはすでに栽培されて今年で19年になるブドウを醸造できるわけですから、アドバンテージですよね。

(つづく)

※1…中棚荘…長野県小諸市にある明治創業の老舗旅館。島崎藤村のゆかりの宿としても知られる。

※2…千曲川ワインバレー(東地区)ワイン特区…酒類製造免許に係る最低製造数量基準(6キロリットル)が、区域内の原料を使う場合、果実酒については2キロリットル、リキュールについては1キロリットルにそれぞれ引き下げられ、小規模な主体も酒類製造免許を受けることが可能になりました。広域特区認定により、区域内の8市町村の原料が利用可能となり、小規模ワイナリーの安定した経営に繋ります。

長野県小諸市公式HP『千曲川ワインバレー(東地区)ワイン特区について』より引用

※3…千曲川ワインアカデミー(日本ワイン農業研究所 アルカンヴィーニュ)…ブドウ栽培とワイン醸造、およびワイナリーの起業と経営について総合的な知識と実践的な技術を学ぶことのできる、日本で初めての民間ワインアカデミー。玉村豊男氏と小西超氏が立ち上げた。

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティを開催することが多いことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年春からワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー(長野県東御市)』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、講師業の傍ら、超新規ワイナリーの立ち上げ・畑仕事のお手伝いにも出掛ける。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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