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日本が誇るワイン用黒ブドウ「マスカット・ベーリーA」と開発者 川上善兵衛

2020年10月14日

ヨーロッパとは異なる日本の気候に適応する品種を求めて、1927年に開発されたマスカット・ベーリーA。
この品種が生まれた物語、背景を知っていて欲しいので、ワイナリーに訪問した際に得た情報も含めてお話させていただきたいと思います。

今では、「日本のワインぶどうの父」と呼ばれる新潟県の岩の原葡萄園の創業者「川上善兵衛」さんが上越高田という当時有数の豪雪地で長い年月をかけ品種改良を重ね、生み出されたブドウです。

地元地域の発展を考え、葡萄園を開園。
そもそもは、この地で「3年1作」と言われた稲作。米と兼業可能な農作物を探していたところ、祖父の時代から親交のあった勝海舟との出会いでワインに触れたのが発端とのこと。
本格的なワイン造りを追求し続け、この品種改良にすべての情熱を注ぎ、私財のすべてを投じて研究をされてこられたお方です。
なんと1万311回もの品種改良を重ね、優良品種22種を世に送り出しました。
その代表品種が“ベーリー”とマスカット・ハンブルグ”の交配種である「マスカット・ベーリーA」です。
今では、北海道を除く本州と九州で幅広く栽培され、その60%程度は山梨が占めています。
樽熟成あるなしの赤ワイン、ロゼ、スパークリング・ワインと多様なスタイルのワインが生み出されています。
2013年に、甲州についでO.I.V(国際ブドウ・ブドウ酒機構)のリストに掲載され、EUへの輸出時に品種名をラベルに記載することができるようになりました。

川上善兵衛さんは、良質なワインを造るため、正坊設備のない時代に、発酵温度のコントロールや夏場のワイン熟成庫の温度管理に、石蔵に雪室を併設し、雪を保存して雪による冷却を実現したのです。

善兵衛さんが果たした夢。
そんな背景を思い起こしながら、「マスカット・ベーリーA」を飲んでみたら、また違ったものが見えてきたりします。なんだか感慨深い思いです。

参考:岩の原葡萄園
https://www.iwanohara.sgn.ne.jp/
川上善兵衛(1868~1944)

この記事の著者 / 編集者

吉田順子

JSAソムリエ協会認定 ソムリエ
食べることが大好きなことから、料理教室に7年間通い続けている。明治屋クッキングスクールでは、和食・洋食・中華・菓子の基本コースをマスター。食事の際のお酒の楽しみ方とマリアージュに感動したことから、ワインを学び始める。フードアナリストの資格も保有し、時々フード媒体でライティングを担当。美しいものが好き。ワインもそのひとつ。お料理とワインの楽しみ方、マリアージュを追求していきます。日々の食卓が美しく楽しくなるよう、フラワーアレンジメントやテーブルコーディネートなども交えながらトータルで提案をしていきたいと思います。

その他保有資格
JSA SAKE Diploma、日本プリザーブドアーティスト協会 認定講師

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