日本ワインなび

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心熱きプロフェッショナルに学ぶ人生の道しるべ

ヴィンヤード『carraria(カラリア)』
トラストアンドアソシエイツ株式会社
中村大祐さんに学ぶ
「自分の人生を大切に生きる勇気」
<全7回>

第4回「風通しのよい南北の長方形に広がるヴィンヤード「carraria(カラリア)」の誕生」

掲載日:2020年7月22日

田口 でも、それを引き受ける決断に至る、と。

中村 結局、その場所をやらせて頂くことになりましたが、いろいろ考えました。最初は、ひとりで汗水垂らして働いて、ああ今日も疲れた、ワインでも飲むかぁなんてことが幸せなんだろう、そういう暮らしをしてみたいと思っていたんです。でも、会社を辞めてアカデミーに通い、時が経つにつれて、果たしてそれだけなんだろうか?と疑問が湧いてきてですね、 そういう暮らしよりも、人から支えられて、勇気づけてもらって生きていること自体が大切だと何となく感じるようになってきたんですね。ひとりではなくて支え合って生きていく、その方が本質的に幸せで、むしろそこを目指すべきなんではないかと、心境が変わってきたのです。

田口 ああ、目の向く方向が変わってきたということですね。

中村 私の一連の決断は、応援があってこそできる。その応援の背後には、ちょっとうがった見方だとも思いますが、夢や希望を付託されている要素が少しはあるんじゃないかと。会社を辞めてしばらく経った時、同期入社の友人が飲みながら「お前よく辞めたなあ」と言うんです。同期だからお互い良く知った仲です。で、彼が言うには、お前のようなことは事情があってできない人も多い。チャンスが少しでもあるんだったらやってみたらどうかというようなことでした。彼は軽い気持ちで言ったのかも知れませんが、私には印象深い話でした。そんなことを思い出しながら、目指すべき方向を定めて行ったんです。

ブドウ畑のある、立科町について
~逆転の発想~

田口 中村さんがこの土地に決めるまでの経緯がよくわかりました。実際に立科町の感想はいかがですか?

中村 ええ、ここは人口減少を抱える町で、私が始めた当時は7500人、今は7000人しかいないんですよ。どんどん減っています。近くには洒落たカフェもありませんでした。でも、逆に考えれば、色々できるということだよなと。実はアカデミーに通っていた年、10月の終わりくらいだったか、1度来たことがあるんです。当初はアルカンヴィーニュみたいに山の斜面の眺望が素晴らしいところがいいと思っていたんですね。だけど、立科町に来てみて、ここもすごくいい場所だなぁという印象を持ったんです。ブドウ栽培に適地かどうかもわからない、でもこれから努力して適地にしていければいいんじゃないかと。巡り合った機会を最大限に活かせばいいんじゃないかという風に思ったわけです。

~途中、ブドウ畑を歩きながら~

中村 (畑を歩きながら)ここにシャルドネが約500本ありまして、一昨年、反対側に広げました。シャルドネとメルロが半分ずつくらい入っています。

田口 メルロも植えているんですね。

中村 メルロも植え始めました。去年の春(別方向の畑を指し)あそこにメルロ半分、カベルネ・フランを増やして。

田口 メルロとかカベルネ・フランもできたら面白いですね。赤ワインやロゼワインもリリースできるようになるのですね。

中村 今はあの重機があるところ、あそこを開墾しています。

田口 すごい、あっちのほうまで。

中村 その手前の広いスペースもブドウ畑にしたいと考えています。右斜め前方に見える家がいまの自宅です。あそこにワイナリーを作りたいですね。

田口 イメージ湧いてきました!

中村 あとでご案内しますが、この最初の畑からあそこのワイナリー方向に広げていきたいという感じなんです。

田口 へえー、山がバックにあるし、ひろがったらきれいですよね、とても。

中村 景色はとてもいいです。

田口 へー、広げていったらこれは美しいヴィンヤード(ブドウ園)になるんじゃないでしょうか。最終的にここを全部作ると、どれくらいの大きさですか?

中村 1ヘクタールいくかいかないかくらいです。

田口 そうですよね、ひとりでやるとしたら0.5ヘクタールくらいまでで結構大変ですよね。

中村 今日は特に風が強いですけど、良く風が通るところなんです。丘の上という感じで。なので、他をやっているわけではないので比較はできないですけど、病気になりづらい場所ではないかと。私のような素人でも病気になりづらいと言うか、そういう感じがします。

田口 病気になりづらいのは大きなメリットですね。

中村 あと、動物の害が少ない、虫が少ないとも思います。他のところでは鳥も来るとか言って、チカチカ光るテープなどを巻いて色々と対策されているようですけどね、ここはしないです。

田口 結構大きなことですね。

中村 かなり大きいですね、とても楽です。

田口 今は剪定の時期ですよね?

中村 こちらはもうとっくに終わらせちゃっていますけどね。あ、ちょうどいいですね、これ、ブドウの涙。

田口 あ、ほんとだ。これ、これから活動するぞっていうサインですよね。

中村 そうそう、なかなかいいタイミングで来ていただけましたね。

田口 よかった、落ちる前に(笑)

(つづく)

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティを開催することが多いことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年春からワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー(長野県東御市)』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、講師業の傍ら、超新規ワイナリーの立ち上げ・畑仕事のお手伝いにも出掛ける。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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