第6回 「最も大きな力、それは『人の力』」
掲載日:2022年10月19日
12年間に渡り市長を務め、突如ワイン用ブドウ栽培を始めた加藤さん。2022年10月4日に催された、小田原ワインプロジェクト初の試飲会で加藤さんにインタビューした。
最も大きな力、それは『人の力』
田口 「市長時代と比べてライフスタイルはどのように変わりましたか?」
加藤 「農業自体は市長になる前からやっていましたけど、ワイン用ブドウの栽培は初めてですから。手探りでしたけど、結果的にはこうしてメイヴという品種と出会えました。それも市長時代のご縁ですし、こうして多くの方が2年近くに渡り無償で来てくださるのも、その頃からのご縁で繋がっています。一番感じるのは、ブドウの力もありますが、ここまでの成果に辿りついた最大の力は『人の力』ということです。市長時代、地域の課題を乗り越えるために必要なのは『人の力』だという確信がありました。今回のことでそれが更に深まりました。」
ワインの持つ力、求心力
加藤 「まだまだ力が出せるという感じがしています。メイヴのポテンシャルが発揮される楽しみもありますが、多種多様な方が手伝ってくれていますので、皆様のポテンシャルがメイヴの栽培を通じてどう発揮されるかということが見ものですね。最初は単にワインを飲みたい人が集まったと思います。だけど、集まってやっているうちに違うものが育まれつつある感じがあります。それがワインの持つ魅力、求心力だなと思います。」
今後の展望・ミッション
田口 「小田原ワインプロジェクトの今後の展望について教えてくだい。」
加藤 「うちのメイヴは明らかにまだ若いので、3年目に当たる2023年にそれなりの形にすることが当面のミッションです。来年は開拓せずに、1ha当たり1,000本の規模をちゃんとやってみようと思っています。今はみなさん無償でやってくれていますけど、いつまでもこれでできるとは思っていません。どんな体制でやっていけるのかそれを見極めたいです。その上で広げていけるのか、どうするのかということは皆で考えていこうと思っています。」
僕にとって小田原ワインプロジェクトとは
田口 「小田原ワインプロジェクトとは、加藤さんにとってどんな存在ですか?」
加藤 「未体験のテーマに臨んでいく中で、それが色々なご縁で拓かれていく、人の力を信じてやっていくことで、それが結実していくことを改めて教えてもらっています。人の力ってすごいってことを市長の時代から思っていましたけど、ストレスのない環境の中でそれができるということは素晴らしい。皆がここに夢を感じてくれていることが嬉しいです。」
(おわり)
編集後記
長期に渡る取材を終え、私は小田原ワインプロジェクトの皆さんから「人の力」の凄さを、先導役の加藤さんから「リーダーの在り方」について学ばせていただきました。
加藤さんは私にとって探索船・船長のイメージ。皆の夢を乗せて大海原に乗り出し、航路を確認しながら、リーダーシップを取って目的地まで連れていってくれる。「加藤さんの船だったら安心して乗り込める」、皆さんそんな気持ちで彼の船に乗り込んだのでないでしょうか。
小田原ワインプロジェクトの圃場は偶然にも拙宅のちょうど対岸。時折デッキに出て、「皆さん、どうしているかな。」と、想いを馳せながら執筆しました。
※小田原ワインプロジェクトについてのお問い合わせはこちら
小田原ワインプロジェクト世話人 加藤憲一 asigarasouken@nifty.com
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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