第4回「皆で気持ちを一つに」
掲載日:2022年10月19日
ぐんぐんと成長するメイヴ
2022年9月上旬、小田原ワインプロジェクトの圃場を再訪した。当日、畑にはボランティアの方たちがワイヤー張りの作業で30名近く集まっていた。春に植えたメイヴたちは元気に育っているが、枝がだいぶ伸びて重くなり風で倒れるようになってしまったので、垣根づくりを急ぐことにしたそうだ。
「メイヴは風で倒れてもズンズン伸びているから凄いです…」と、加藤さんから事前に聞いていたものの、実際に見てみるとその樹勢の強さに驚く。樹勢が強いとそのコントロールに苦労するわけだが、メイヴはこの絶景の地がよほど気に入って元気に育っているようにも思えた。
病害については多少出ているものの、殆ど影響ないそうだ。メイヴの凄いところは、ヴィティス・ヴィニフェラ系なのに病害に強いことである。畑の一部に国際品種も植えられているが、そちらはやはり調子が悪そうだった。
皆で気持ちを一つにワイヤー張り
撮影の合間に私もワイヤー張りを手伝わせてもらった。畝の端からワイヤーをぐるぐると出す係、ワイヤーを隣の人に送る係、もう一方の端にはワイヤーを受け取って固定する係がスタンバイしている。
この作業は皆さんにとっては2回目ということで、特に詳しい指示がなくても手際よく作業されていた。私は畝の真ん中あたりでワイヤーを送る係を務めた。「Aチーム、ストップしてください!」「Bチーム完了です!」と、声のリレーがブドウ畑にこだまする。こんなに大きな声を出したのはいつ以来だったろうか。
作業に参加する年代はさまざま。世代を越えて、皆さんの気持ちが一つになっていることが感じられた。
ワイヤー張り当日の集合写真(加藤憲一さんより提供)
和気藹々とした雰囲気の中で
作業の合間には区切りの良いところで加藤さんが休憩の指示を出してくれる。休憩所では地元産のブルーベリーが振舞われた。「美味しいワインを飲みたくて頑張っているのよ」という皆さんの陽気な声もちらほら聞こえてきた。
ボランティアの方たちは飛び入り参加していた私を快く迎えてくださった。圃場に毎週のように来て世話をしている鳥越健さんは、プロジェクトの歴史について詳しく教えてくださった。私はますます小田原が好きになった。
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
日本ワイン検定 出題作成委員
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