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ソムリエ・エクセレンス、元外資系航空会社勤務。現在は、酒類卸会社で会員制情報サイトの編集・執筆を担当。世界を飛んだ美食家として日本ワインの魅力を語ります。

泉 洋介

ワイン・エキスパート、海外出張の際には伝統国以外にもインド・中国産などNext new normalなワインにも触れ日々研究中。この経験と専門分野ブランディングとデジタルマーケを切り口に日本ワインの魅力と可能性について語ります。

吉田順子

ソムリエール、ワインカルチャー講師、女性が選ぶワインコンテストSakura Award審査員。ワインとお料理のマリアージュの視点から日本ワインの魅力と可能性を語ります。

内田一樹

『テイスティング』コーナーの進行役。ソムリエとワイン・エキスパート両方のエクセレンス資格を持つワインのプロ。さらに、栽培・醸造の学校卒業の経歴から、その視点で日本ワインの魅力と可能性を語ります。

第5回シャルドネ~日本の北から南まで~【Vol.6】

2021年7月2日

6.北信左岸シャルドネ リヴァリス2018(メルシャン)/ブドウ: 長野市豊野町 【750mℓ・6,545円】

リーディングカンパニーが手掛ける日本を代表するシャルドネという感じですね。

熟した黄桃、マンゴーの香りに樽由来のアーモンドの香りがあります。

スモーキーな、燻したような香りがあります。樽のロースト香ですね。

オーク樽由来のバニラやヘーゼルナッツの香りを感じます。新樽率が高そうです。

濃い目の黄金色と樽香の強さは、カリフォルニアのシャルドネのようなパワフルな雰囲気もありますね。

メルシャンは左岸・右岸と分けてシャルドネを造られていますが、特徴にはどんな違いがあるのでしょう?

左岸は粘土質土壌でまろやかさがあり、右岸は礫質土壌でシャープさがあります。もう少しスタンダードな価格の「北信シャルドネ」というワインは左岸・右岸のブレンドになっています。

そして余韻が非常に長いワインです。

果実味と酸味の味わいのバランスの良さは流石という感じがしますね。

長野県の千曲川に沿った北部の豊野町のブドウを使っているみたいです。粘土質土壌は骨格のしっかりしたコクのあるワインができると言いますが、このワインもその特徴が良く出ていると思います。

地図で見ると対岸の右岸には小布施町があります。小布施ワイナリーのワインも好きで、ブルゴーニュ的なエレガントさを感じますが、この左岸粘土質土壌のリヴァリスの味わい・香りには、カリフォルニア的なスケールの大きさを感じます。

2012年を飲んだ時は、はちみつの風味がすごくありました。熟成させると更に良いいいのかもしれないですね。どんなお料理に合わせると良さそうでしょうか?

バターやクリームを使ったお料理にぴったりなワインですね。酸味もしっかりあるので、お料理の後味がさっぱりとすると思います。

千曲川と言えば川魚ですが、お魚の塩焼きにワインの酸味と果実味を合わせるのもいいと思います。

川といえば岸辺でのBBQを思い浮かべますが、コクを感じる凝縮感と爽やかな酸味は、お肉にも合うと思います。

日本のシャルドネテイスティングまとめ

皆さんの意見をまとめると、日本のシャルドネに求められるのは、果実味と酸のバランス、よく熟した果実の凝縮感、樽香は上品に付けてワインの状態になじんでいることが大事ということですね。
 
日本ではまだ原産地呼称制度が始まったばかりで、その土地や地域、区画、畑の特徴、そこに適したブドウ品種やクローン、ワインに現れる特徴などが模索中というところです。各ワイナリーが、それぞれ研究を始めているという段階だと思います。
 
日本は今、新たなワイナリーがどんどん増え始めていて、彼らは自分の造りたいワインを造っていて、そこにファンが付いていく、という雰囲気があると思います。旧世界の成熟したワイン産業のように形が出来上がっているわけではないので、そこは日本ワインの興味深いところだと思います。

それぞれのワイナリーが目指す日本ワインにファンが付いて行っている潮流がありますよね。それから、ブドウ栽培やワイン醸造の技術的な部分も重要ですが、世界に評価されることだけでなく、地域の人たちに愛され、地元の料理や文化に馴染む、地域に根差したワインを造りするワイナリーが増えていくと嬉しいですね。

多様性を楽しむ品種シャルドネ、そして日本ワイン

各産地、さまざまなタイプのワインをいろいろテイスティングしてみて、日本のシャルドネに共通点があるとしたら、どんなところだと感じましたか?

シャルドネという品種自体がニュートラルなので、如何様にも造れますから、共通した個性というのは今日の時点では掴めませんでした。シャルドネのような国際品種は、「日本のシャルドネ」という共通性よりも、「各地のテロワールや造り手それぞれの個性豊かな多様性」を楽しむのが醍醐味なのではないでしょうか。

カリフォルニアにはIPOB(※1)という潮流がありますよね。ロバート・パーカー氏好みのボリューミーなスタイルから、エレガントなスタイルを目指すという共通の方向性を目指す取り組みがあるようです。日本酒の杜氏のように、それぞれのワイナリーによって醸造家の方により独自の物を造る。北海道から沖縄まで、緯度の差が約18度もあり、全方向海に囲まれ山脈が連なる日本ですから、テロワールも異なり、ブドウ品種も異なり、できるワインも異なる、造りも型にハマっていない。他国同様、様々なスタイルのワインがあることが日本ワインの楽しさであり、魅力だと思います。

北海道で素晴らしいピノ・ノワールを造るドメーヌ・タカヒコ。タカヒコさんは、「日本スタイルのピノ・ノワールを目指す。ブルゴーニュは目指さない」と仰っていたのが印象的です。そのピノ・ノワールは人気が出過ぎて、入手不可能に近いですが…。しかも海外のレストランで採用されるという快挙。「独自のスタイルを目指す」というのも日本ワインの新たな方向性の一つと言えそうですね。

※1 IPOB(In Pursuit of Balance)…カリフォルニア・ワインの生産グループ。シャルドネの白ワイン、ピノ・ノワールのエレガントさを目指す任意団体で、「酸がきれい」「アルコール度数が高すぎない」「濃すぎない」といったバランスの良さ、テロワール(畑の土壌、地勢、気候)を生かしたワイン造りを大切にする。2011年に設立され、2016年に目的を達成したとして解散。

(おわり)

この記事の著者 / 編集者

内田一樹

『テイスティング』コーナー進行役。ソムリエとワイン・エキスパート両方のエクセレンス資格を持つワインのプロ。さらに、栽培・醸造の学校卒業の経歴から、その視点で日本ワインの魅力と可能性を語ります。

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