第5回「ブドウ栽培で苦労したこと」
掲載日:2021年5月22日
有機農法の苦労
田口 ブドウ栽培は大変なことが多いと思いますが、とりわけご苦労されたのはどんなことですか?
櫻山 去年はカイガラムシ(※1)の被害が酷くて。今年はブドウの樹の皮を全部剥いたんですよ。それから落ち葉も全部ひろって燃やしました。
田口 樹の皮を剥くというのは大変な作業ですね。
櫻山 うちは有機農法でやっているので、殺虫剤を使えないんです。
ピノ・ノワールが全滅に ~仁義なきハクビシンとの戦い~
櫻山 それから、2020年に生田圃場が3年目を迎えて、初めての収穫の時にハクビシンの洗礼を受けました。
田口 どのくらいの被害を受けましたか?
櫻山 ピノ・ノワールが全滅してしまったんです。私、ピノ・ノワールも大好きなんですよ。まあ、みんな好きだと思うんですが、ハクビシンもピノが大好きで…。
田口 ハクビシンは美味しいものを知っているんですね。笑い事では済みませんけども…。
櫻山 電柵は設置していたので安心していたんです。そうしたら、ちょうど収穫しようかなって思った時に毎日1キロくらいずつ食べられて。食べられてしまう度に対策を考えて色々やってみました。でも、いたちごっこのようになって、結局負けました!
田口 具体的にはどんな対策を?
櫻山 電柵を1本増やしたり、有刺鉄線を使ったりしましたが、毎日いとも簡単に破られました。市役所や猟友会の方にも相談しましたがお手上げ状態で。今年はキャンプ張ろうかと。
田口 テントを張って見張るということですよね?そこまでしないと難しいんですね…。
櫻山 もしくはサルにも対応できるレベルの電柵を設置しようかと。網を張った上に電柵を3本くらい立てて。電柵の下からもも入らないようにする。2.5反のブドウ畑にいったい何百万円かかるんだと(笑)
田口 ハクビシンの対策、何か良い方法が見つかると良いですね。丹精込めて育てたブドウを全部食べられてしまうのはやりきれないですものね。
ヴェレゾンノート公式HPなどに掲載されいてる名物バラ「安奈」
オフの日の過ごし方
田口 櫻山さんのお話を聞いていると、常にお忙しそうですよね。オフの日は何をされているのでしょうか?
櫻山 オフ取れないんですよ。今は忙しくてどこにもいけないの。雨の日は畑は休みなんですけど、そういう時はたまった事務作業をやっていますし。そういえば長野に来るとき、近くだからできるだろうとゴルフの会員権買ったのに一度も行けてないな。
田口 冬の間はいかがですか?
櫻山 冬の間も決算や配送などがあるんですよ。だから完全に休めるのは1年に1、2回行く近場への旅行くらいかな。
田口 では、今もしも一日オフを取れるとしたら何をやりたいですか?
櫻山 フラダンスをやりたいですね。前にちょっとやっていたんです。すごく楽しくて。この辺りは海無しながらフラダンスをやっている方が多いんですよ。素晴らしい先生もいらっしゃいます。
田口 櫻山さんは多才ですよね。お父様のから引き継いだ会社の社長業からスクール事務局、ブドウ栽培、ワイン造り、フラダンス、そして不動産の資格も持っていらっしゃるとか?
櫻山 はい、ちょっと昔に取りました。不動産の資格もヴェレゾンノートび事業の一環としてそのうち活かせるといいなと思っています。
(つづく)
※1…カイガラムシ…カメムシの仲間。果樹や鑑賞樹木の重要な害虫。植物の汁を吸うので生育に良くない影響を与える。
この記事の著者 / 編集者
田口あきこ(日本ワインなび編集長)
ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。
2015年 ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』の講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
2024年より千曲川ワインアカデミー倶楽部公式HP『生産者ストーリー』執筆。
同年 北海道余市町登に3.4haの農地を取得し、vineyard開設中。
日本ワイン検定出題作成委員
LDV日本ワインLover講座主任
・ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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