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第2回「カベルネ・ソーヴィニヨンが熟す土地」

掲載日:2021年5月22日

東山圃場のカベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨンが熟す土地

田口 アカデミー(※1)の事務局のお仕事を終えられ、現在は東山を含めた3つの圃場でブドウ栽培をされているとのことですが、この土地とはどうやって巡りあったのですか?

櫻山 私、東山でブドウ栽培をしたかったんです。東山の土地ははっきり言って他と違う。

田口 この辺りでは、「カベルネ・ソーヴィニヨンは東山でないとうまくいかない」という話は聞いたことがあります。

櫻山 そうなんです。東山はこのあたりで唯一カベルネ・ソーヴィニヨンが熟す土地といわれています。ここは変わっている土地なんですよ。大昔は海の底で、それが隆起してできた複雑な断層を持つ土地なんです。

田口 実際にこの土壌で栽培されてみていかがですか?

櫻山 糖度が上がっても酸が落ちないんです。味わいも複雑になるんですよ。東山では私たち以外の方もブドウ栽培を行われていらっしゃるのですが、ここで造っている某社のカベルネ・ソーヴィニヨンは前アメリカ大統領のトランプさんにも供出されましたし、価値は上がっていると思います。

田口 この貴重な土地はどうやって手に入れられたのですか?

櫻山 私はもともと東山で土地を探していたんです。そんな時、アカデミー2期生の中川(※2)が東山でブドウ栽培をやっていると聞いてお手伝いしていたんです。それから、「美味しいワインを造りたい」という目的が同じなので、一緒にやらせてもらうことになりました。

田口 東山で実際にカベルネ・ソーヴィニヨンを育ててみていかがですか?

櫻山 本領を発揮するのはこれからだと思いますが、やはりポテンシャルを感じます。

前山での意外な発見

田口 東山以外の圃場についても聞かせていただけますか?

櫻山 はい、東山の他にも前山、生田と計3つの圃場があります。前山でもカベルネ・ソーヴィニヨンを栽培しているのですが、東山とはまた雰囲気が違って面白いです。

田口 前山はどんな土壌ですか?

櫻山 砂利質の土壌で、水はけがとても良いんです。北向きなんですけど日当たりも良くて。周りが民家なので病気もない。全然手がかからずに、すごくきれいなブドウがとれるんです。

田口 前山でカベルネ・ソーヴィニヨンがうまく育つというのは意外な発見だったというこですね?

櫻山 はい。びっくりしました。前山の圃場は、長野の鎌倉と呼ばれている前山寺のすぐ下にあります。観光名所ですのでぜひ一度行かれてみてください。

最適な品種を探して

田口 生田圃場についても教えていただけますか?

櫻山 生田圃場は東山からほど近くて日当たりのよい南斜面です。ここは私たちの試験圃場なんです。さまざまな品種を植えて、新しい味わいを生み出すための最適な品種を探しています。

田口 それは興味深い取り組みですね。どんな品種を植えられているのですか?

櫻山 サンジョベーゼ、カベルネ・フラン、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、バルベーラを植えています。生田はフィールドブレンド(※3)でワインを造るつもりです。

田口 フランス系からイタリア系まで色々な品種を植えられているのですね。ヨーロッパに比べると日本ではワイン造りの歴史が浅いので、「どの品種がどこに最適か?」というのは未知数な部分が多いわけですよね。いったいどの品種がどの土地に合っているのか…。年月をかけて実際に取り組む方たちがいらっしゃるからこそ、分かることですよね。日本ワインの歴史はこうやって着実に前に進んでいるのですね。

(つづく)

※1 千曲川ワインアカデミー(日本ワイン農業研究所 アルカンヴィーニュ)…ブドウ栽培とワイン醸造、およびワイナリーの起業と経営について総合的な知識と実践的な技術を学ぶことのできる、日本で初めての民間ワインアカデミー。玉村豊男氏と小西超氏が立ち上げた。
※2 中川裕次…ヴェレゾンノート 東山ワイン研究所合同会社 代表
※3 フィールドブレンド…一つの畑にさまざまな品種を混植し、そこで実った多品種のブドウを混醸してワインを造ること。

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティが好きなことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年 ワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学ぶ。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
2021年 JETROに附置する農林水産省・食品の輸出・プロモーション機関の事業で日本ワインの認知業務に携わり、海外向けに日本のワイナリー紹介記事を執筆。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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