日本ワインなび

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心熱きプロフェッショナルに学ぶ人生の道しるべ

ヴェレゾンノート
東山ワイン研究所合同会社
櫻山記子さんに学ぶ
「如何なるハードルにも
正面から挑むタフな精神力」
(全6回)

第1回「苦難を乗り越えた先に見つけた夢」

掲載日:2021年5月22日

田口 お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。まず初めにヴェレゾンノートの事業概要を教えていただけますか?

櫻山 ヴェレゾンノートではワイン用ブドウの栽培・ワイン販売を行っています。東山ワイン研究所合同会社という法人を設立し、定款にはワイナリー、宿泊施設、不動産、コンサルティングやら色々入っています。どう広がっていくか分からないですから、夢を込めて。園主の中川(※1)が始めたブドウ栽培を、私が加わることで少しでも広げていければと思っています。

田口 中川さんには、まさに「ヴェレゾン(※2)」の時期にこちらのコーナーにご出演いただきたく思っております。というわけで、本日は櫻山さんからお願いします。

櫻山 園主より先に出てしまって恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします。ヴェレゾンの時期、本当にきれいなので写真をたくさん撮影されていってくださいね。

田口 ありがとうございます。さて、そもそも櫻山さんはワインが好きすぎてワイン造りを始められた…ということですが、物凄い行動力ですよね。
まだまだ落ち着かない世の中ですし、また、人生の岐路にある読者の方々にとっても、人生を開拓するよき道しるべになると思いますので、本日はそのはじまりの時代からお話を聞かせてください。

大きな苦難を乗り越えて

田口 ワイン造りをされる前はどんなことをなさっていたのですか?

櫻山 実は、私が35歳の時に父が急に亡くなって。父は会社をやっていたもので、莫大な借金があったんです。それを返すために後を継ぐことにしました。自己破産はどうしてもできなくて…周りの人に迷惑かけちゃいますから。

田口 それは大変でしたね。お父様はどんな会社をなさっていたのですか?

櫻山 フォーム印刷の事業でしたが、私はもともと広告関係の仕事だったので クリエイティブの方にシフトしていきました。会社を大きくするつもりもなかったので、一人二人で細々とやってきました。
借金を返すために後を継いで、50歳引退を目標にひたすら頑張りました。そして48歳の時、なんとか完済できました。一つの区切りなので、今度は自分の好きなことを始めようと思ったんです。

ワインの世界へ

田口 莫大な借金を完済するという目標を本当に成し遂げられたのですね。それでようやくご自身の好きなこと、つまりワインの世界に入られたということでしょうか?

櫻山 はい。さぁ、これからは自分の好きなことをしよう!とワインの勉強を始めました。そしたら見事にはまっちゃったんですね。それから資格を取って、少しずつワインの仕事を始めました。

田口 ご自身の好きなことを始められた後もやっぱりすごい行動力ですね。

櫻山 そうですかね(笑)そんな或る日、日本ワインを愛する会の総会に行った時、玉村先生(※3)がいらしたんです。そこで千曲川ワインアカデミー(※4)を開校するという話を伺いました。その後、アカデミーの事務局担当を募集していることを知って応募しました。そこで運良く拾っていただいて。それで2015年3月に東御市に移住しました。

田口 ワインにのめり込んでいる真っ只中の時に、アカデミー事務局担当というお仕事に巡り合われたのは、素晴らしいタイミングでしたね。

櫻山 はい、本当にありがたいことです。

田口 アカデミーでのお仕事はいつ頃まで続けられていたのですか?

櫻山 1期生、2期生、そして3期生の選考を終えたところまで担当して、ヴェレゾンノートの仕事を始めました。


ヴェレゾンノート東山圃場

新たなチャレンジへのはじまり

田口 事務局として、ワイン造りを目指す人たちのサポートをする立場から、今度はご自身がワイン造りをする立場になられたということですよね?

櫻山 はい、受講生の皆さまが夢に向かって頑張る姿を見て、私もいつしか「生産者の仲間になりたい」と思うようになっていました。みなさん、熱量が凄くて…。当時は授業が平日だったので、仕事を辞めて命を懸けてワイン造りをしようという気持ちで通われている方ばかりでしたから。

田口 生産者の仲間になりたいと思われた背景を詳しく教えていただけますか?

櫻山 アルカンヴィーニュで仕事をさせてもらったことで、日本ワインの最先端を知ることができました。まさしく新しいうねりが今起こっている、その渦中にいるということにとてもワクワクしたんです。いつか歴史の教科書に、かつて日本のチャレンジャーたちが日本のテロワールを活かしたワイン造りに挑戦した、なんて書かれるかもしれないな。なんて思うと面白くないですか?「チャレンジ」が私の座右の銘なんです。
「なんで日本でワイン造りするの?」と、たまに聞かれることがありますけど、私は日本でやるから意味がある、と思っています。向いている、向いていないで言えば向いていないかもしれませんけど。

(つづく)

※1 中川裕次…ヴェレゾンノート 東山ワイン研究所合同会社 代表
※2 ヴェレゾン(英 veraison ・仏 véraison)…ブドウの房の色づき。着色期。
※3 玉村豊男…日本のエッセイスト、画家。東京都生まれ。長野県東御市在住。株式会社ヴィラデストワイナリー会長。
※4 千曲川ワインアカデミー(日本ワイン農業研究所 アルカンヴィーニュ)…ブドウ栽培とワイン醸造、およびワイナリーの起業と経営について総合的な知識と実践的な技術を学ぶことのできる、日本で初めての民間ワインアカデミー。玉村豊男氏と小西超氏が立ち上げた。

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティを開催することが多いことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年春からワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー(長野県東御市)』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、講師業の傍ら、超新規ワイナリーの立ち上げ・畑仕事のお手伝いにも出掛ける。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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