第3回 マスカット・ベーリーA【Vol.3】
2020年10月1日
MBA お料理との相性の可能性
マスカット・ベーリーAって、1番と2番でも全然タイプもキャラクターも異なるし幅が広いから、この品種にはこの料理って決めつけるより、何か別のアプローチがあると思います。
幅が広いという点から言うと、コース料理の最初から最後まで、様々なタイプのマスカット・ベーリーAでペアリングを組むなんて出来るんじゃない。
品種としての本質的特徴は共通しているものがあるから、そこをタイプに合わせて素材はもちろん、調理方や調味料で変化させて、マリアージュさせると楽しそうですね。
そのワインの価格帯と料理の格を合わせるってことは出来そうですね。
ピノ・ノワールでも高いワインは鴨料理と合わせて、デイリーに飲むピノ・ノワールは焼鳥とよく合うとか。
豚の角煮が合いそうって思ったんですが、どうでしょう。
角煮の甘みとマスカット・ベーリーAの甘やかな果実味は合いそうですけど。
玉ねぎやリンゴを使った甘みのあるソースも合いそうです。
北京ダックの甘みと香ばしい香りも合いそうです。
やっぱり素材というより、ソースで合わせる方が合わせやすいと思います。
豚肉のソテーにチェリーソースとか、2番のワインによく合いそうです。
シェフや料理人の方が、マスカット・ベーリーAとお料理との相性を研究していってくれたらもっと可能性が広がりそうですね。
マスカット・ベーリーAは昭和のはじめから連綿に続いて栽培され、ワインとして愛されてきた品種。歴史が長いので、とても興味がありスタディしたいです。
一品料理というより、女子会などの華やかなシチュエーションで、アペタイザー(※)やフィンガーフードなどに合わせたら良さそうですね。
チーズケーキのソースの替わりとしての補完的ポジションもいいかもしれません。
ピクニックとかBBQとか、シチュエーションから考えていった方が合わせる場面が増えそうです。
2番は、甘みを感じるので、食中酒というより、華やかな場面で楽しむというワインですね。
※アペタイザー・・・アペタイザーとは英語でメインの食事の前に食べるもの、前菜を意味します。同じ意味でフランス語では「オードブル」、イタリア語では「アンティパスト」と言われる。
(つづく)
この記事の著者 / 編集者
内田一樹
『テイスティング』コーナー進行役。ソムリエとワイン・エキスパート両方のエクセレンス資格を持つワインのプロ。さらに、栽培・醸造の学校卒業の経歴から、その視点で日本ワインの魅力と可能性を語ります。