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Tomoe

ソムリエ・エクセレンス、元外資系航空会社勤務。現在は、酒類卸会社で会員制情報サイトの編集・執筆を担当。世界を飛んだ美食家として日本ワインの魅力を語ります。

泉 洋介

ワイン・エキスパート、海外出張の際には伝統国以外にもインド・中国産などNext new normalなワインにも触れ日々研究中。この経験と専門分野ブランディングとデジタルマーケを切り口に日本ワインの魅力と可能性について語ります。

吉田順子

ソムリエール、ワインカルチャー講師、女性が選ぶワインコンテストSakura Award審査員。ワインとお料理のマリアージュの視点から日本ワインの魅力と可能性を語ります。

内田一樹

『テイスティング』コーナーの進行役。ソムリエとワイン・エキスパート両方のエクセレンス資格を持つワインのプロ。さらに、栽培・醸造の学校卒業の経歴から、その視点で日本ワインの魅力と可能性を語ります。

第3回 マスカット・ベーリーA【Vol.1】

2020年10月1日

テイスターが選んだマスカット・ベーリーAのワインたち

画像左より

  1. アルガーノモンテ2018(勝沼醸造)/ブドウ:山梨県韮崎市穂坂地区【3,300円】
  2. 深雪花(岩の原葡萄園)/ブドウ:新潟県上越市【2,219円】
  3. マイスターセレクション遅摘み2017(朝日町ワイン)/ブドウ: 山形県朝日町・柏原地区【1,980円】
  4. 柏原ヴィンヤード遅摘み赤2019(朝日町ワイン)/ブドウ: 山形県朝日町・柏原地区 【1,650円】
  5. プライベートリザーブ2014(都農ワイン)/ブドウ: 宮崎県児湯郡都農町牧内農園 【3,300円】
  6. 穂坂マスカット・ベーリーA コールド・マセレーション2019(本坊酒造マルス山梨ワイナリー)/ブドウ: 山梨県韮崎市穂坂地区 【1,628円】

甲州に続いて、日本のワイン用ブドウ2大品種の一つ、マスカット・ベーリーAをテイスティングしていきます。
本日、ソムリエ協会の土着品種のセミナーがあって、石田副会長が、今後期待する品種の中にマスカット・ベーリーAを入れていました。
最近の傾向として、マスカット・ベーリーAの可能性を引き出す試みが生産者の中ですすんでいて、遅く収穫した完熟ブドウを使ったり、樽との相性が良いことから樽熟の方法を工夫したりなど、栽培・醸造の工夫で可能性に挑戦しています。
フレッシュ、フルーティーでチャーミングな果実味が特徴のこれまでのマスカット・ベーリーAのワインと、前記のような挑戦をしているワインを揃えましたので、皆さんの感想・評価をお聞きし、マスカット・ベーリーAとは何ぞや、その本質的特徴と可能性について語っていただきたいと思います。
 
まず、1番2番が樽を使って熟成期間も比較的長く取ったワインですので、飲み比べてみましょう。
1番の勝沼醸造「アルガーノモンテ」は、フレンチオーク樽で熟成、全房発酵(※1)、野生酵母での発酵、無補糖と様々な挑戦を試みているワインです。
 
2番の岩の原葡萄園の深雪花は、果皮や種からの香味成分をしっかりと抽出後、樽の中でじっくりと熟成したワインです。女性が選ぶサクラアワード2020で、ゴールドを受賞しています。
 
3番、4番は遅摘みの同じ畑で収穫されたブドウを使い、同じ朝日町ワインで醸造された、樽熟成させたワインと樽を使っていないワインの飲み比べをします。このマスカット・ベーリーAは、日本で一番遅く収穫されるということで評価が上がってきています。
 
5番、6番は、長期熟成させたワインとコールド・マセレーション(※2)したワインも飲んでみようという意図です。
 
5番は、宮崎県の都濃ワインのもので、長期熟成の可能性を探ったワインです。フルーティーな香りを出すために、2日間ほど低温で果実を浸漬した後、かもし発酵。数ヶ月ステンレスタンクで寝かせ、さらに4年程度フレンチオークでじっくり熟成。2年目くらいで徐々にタンニンの角が取れ、4年目に入ると濃縮感のレベルが一段と上がり、熟成のピークを迎えたと判断し、瓶詰めしたワインです。
 
6番は、鹿児島の焼酎メーカーで有名な本坊酒造が山梨でワイン造りをはじめたマルス山梨ワイナリーのもので、コールド・マセレーションを行うことで成分を破壊せずに抽出を強め、「濃縮感のありながらも口当たりの良い」香味を引き出したワインです。
 
それぞれ、こだわった栽培・醸造をしていますので、そのあたりからマスカット・ベーリーAの本質的特徴と可能性を探っていきましょう。

 
※1 全房発酵…ブドウの除梗を行わず、果皮と種子、果肉だけではなく、梗も一緒に醸す方法。
青さのある粗いタンニンが梗から抽出されてしまうという懸念もあるが、取り入れ方によっては香りは複雑になり、味わには奥行きが出てるワインになると言われている。
※2 コールド・マセレーション…日本では低温醸し法と呼ばれ、原料ぶどうを除梗破砕後、発酵を開始する前にタンク内で数日間低温浸漬し、その後発酵を行うことで色や風味成分の抽出を促進させる醸造法です。 ブドウ果実の中にある酵素によって細胞が分解し、成分抽出が可能になる。

今回はオンラインでのテイスティングとなりました。

(左上)吉田順子/(右上)泉 洋介/(左下)内田一樹/(右下)市川朋依

(つづく)

この記事の著者 / 編集者

内田一樹

『テイスティング』コーナー進行役。ソムリエとワイン・エキスパート両方のエクセレンス資格を持つワインのプロ。さらに、栽培・醸造の学校卒業の経歴から、その視点で日本ワインの魅力と可能性を語ります。

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