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日本ワインのブドウ品種

日本ワインの代表品種!甲州(1)~ワインの特徴と醸造スタイル~

掲載日:2020年7月1日

甲州プロフィール

Decanter HP『Japanese Koshu: Wines to try』Decanterより出典

ワイン用国産生ブドウの中で醸造量第1位。
主に白ワインの原料に使われていますが、果皮はやや薄い藤紫色なのでグリ(灰色)系ブドウと呼ばれます。
果皮がやや厚いことから、病気になりにくく湿気の多い日本でも育てやすい品種です。
甘口、辛口、スパークリング、樽熟成、さまざまなテクニックを用いて多彩なスタイルの甲州ワインが造られています。

甲州ワインの特徴

外観

一般的には透明に近い淡い色調

香り

レモン、グレープフルーツ、ピーチ、スダチやユズなどの和柑橘、吟醸香など

味わい

フレッシュな果実味、穏やかな酸味、余韻に心地よい苦み
独特な苦みが和食の繊細な味わいを引き立ててくれます。
糖度が上がりづらいので、アルコール度数は低め。

PORTA山梨県内の情報を届けるポータルサイト『wine x Japanese food Kappou ”こい季” おもてなしのワイン』(PORTA)



多彩な甲州の醸造スタイル

シュール・リー

味わい深く、厚みのあるワインにするための方法。
フランスのロワール地方でミュスカデというブドウ品種に採用されています。
白ワインは、アルコール発酵が終わったら、ワインから澱を取り除くのが一般的です。
しかし、シュール・リー製法では、澱とワインを一定期間接触させるために、発酵槽の中にワインをそのまま放置させておきます。澱にはうまみ成分が含まれているので、それがワインに抽出されるというわけです。
また、酵母に由来するパンのイースト菌のような香りがすることもあります。

スキン・コンタクト

ブドウの果皮を果汁に長く接触させておくことで、色素や香りの成分、ポリフェノール成分などを果汁に抽出させる方法。
一般的な白ワインの造り方では、収穫したブドウの実を梗から外し、軽く潰した後にギューッと圧搾し、出てきたジュースをアルコール発酵させます。圧搾の工程の前に一定の時間、果皮を果汁に漬け込んでおきます。

甲州は比較的、果皮が厚いので、果皮由来の成分が多く含まれています。
スキン・コンタクトをすることで、藤紫色の果皮の色素が抽出され、ピンクがかった色合いになることもあります。
また、ポリフェノールの成分などが果汁に抽出されるので、独特の心地よい苦みを感じるワインになります。

3MHがピークに達するタイミングで収穫

香り豊かなワインを造るために、3MH(3-メルカプトヘキサノール)の量に注目して収穫時期を決める方法。
甲州にはにおい物質の前駆体である3MHが含まれています。
3MHはソーヴィニヨン・ブランの特徴的な香りであるグレープフルーツのような柑橘系の香りがすることが多いです。
また、3MHがピークを迎える時期は、各栽培地によって異なります。

2003年、メルシャン社で発酵試験が行われていた時、甲州ワインから柑橘系の香りがすることが偶然発見されました。メルシャン社はボルドー大学デュブルデュー研究室の富永敬俊博士に分析を依頼し、甲州に3MH(3-メルカプトヘキサノール)が含まれているこが分かりました。

赤ワインのような造り方

いわゆるオレンジワインがこの造り方です。
ワインは赤、白、ロゼに分類されますが、オレンジ色のワインも注目を浴びています。
赤ワインのように、果皮も種も一緒にアルコール発酵させることで、果皮の成分がワインに強く抽出され、香り豊かで厚みのある味わいのワインになります。

また、この造り方をすると、β-ダマセノンを多く含んだワインになるそうです。
β-ダマセノンとは香りの前駆体で、甲州の果皮の成分を強く抽出すると、バラやリンゴのコンポートのような香りのするワインになることがあります。

参考文献

  • 生物工学会誌 – 89巻12号『甲州ブドウの持つ香りのポテンシャルを引き出すワイン醸造小林弘憲著』(2011年)(公益社団法人日本生物工学会)
  • 日本ソムリエ協会教本(2020年3月)『日本』(日本ソムリエ協会)
  • シャトー・メルシャンHP『幸せをはこぶ「きいろ」の物語』(シャトー・メルシャン)
  • SUNTORY HP『ワインの知識』サントリーホールディングス株式会社
  • ワインの香り 著者 東原和成 佐々木佳津子 渡辺直樹 鹿取みゆき 大越基裕『日本の主要9品種の香りを覚えよう』虹有者
  • まわりの人が笑顔になるワイン選び 畑久美子著『ブドウの「品種」を知れば、もうワイン選びはスベらない!』(2016年9月23日)(宝島社)

(おわり)

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティを開催することが多いことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年春からワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー(長野県東御市)』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、講師業の傍ら、超新規ワイナリーの立ち上げ・畑仕事のお手伝いにも出掛ける。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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