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日本ワインの歴史

【Vol.1】いつ、どこで、誰が始めた?日本で初めての本格的ワイン造り

掲載日:2020年7月1日

日本ワインの歴史が覆る!?新説浮上

日本で本格的にワイン造りが始まったのは1874年、今から約140年前の明治初期と考えられてきました。しかし、2018年に新しい説が浮上!熊本大学永青文庫センターが新しい見解を発表しました。なんと、1627年(江戸時代)に葡萄酒造りが実施されていたというのです。約400年前に造られていたということは、今までの説を200年も遡るということになります。

さて、そんな時代にいったい誰がどうやってワインを造っていたのでしょう…?

葡萄酒を造った人物に迫る

葡萄酒を造っていたのは上田太郎右衛門なる人物、造らせていたのは細川忠利(小倉藩藩主)。現在の福岡県で本格的なワイン造りは行われていました。太郎右衛門は忠利の家臣として御郡奉行をしていた人物の弟で、南蛮料理や南蛮時計など舶来の南蛮技術や薬酒造りなどの技術を持っていたとのこと。それで忠利が抜擢して家臣に加えたそうです。
また、研究員の調査によると、1627~1630年までの4年間は確実に葡萄酒が造られていたことが明らかになりました。

細川忠利

Hosokawa Tadatoshi

The Japanese book 『肥後の画名品撰』(1992) (鶴屋百貨店)の複製画
Wikimedia Commons『細川忠利』(Wikimedia Commons)より出典

日本最古の本格ワインに使用されたブドウ品種

江戸時代に忠利が造らせていた葡萄酒のブドウ品種、何が使われていたのか、ワイン好きとしては気になるところですよね。もちろんその時代の日本にシャルドネやピノ・ノワールなどあるわけもなく…。それは地元で“がらみ”と呼ばれる、山ブドウの一種だったそうです。また、当時造られていたのは、“がらみ”をアルコールに漬けた果実酒(混成酒)ではなく、ブドウをアルコール発酵させた醸造酒、いわゆるワインであることも明らかになったとのこと。
忠利はワイン愛好家だったのかしら?とつい親近感を抱きたくなりますが、熊本大学は当時の時代背景などから、葡萄酒は「薬用」と「贈答用」しての目的で造られていたのではないかとの見解を示しています。
また、葡萄酒造りと同時期にアヘンが製造されていたとのこと。アヘンもまた「薬用」として使用されていたのではないかと考えられているそうです。



発酵促進のために使われた意外な副材料

ワインを造る際に、“がらみ”の他に黒大豆が使われていたことが分かりました。その目的は、アルコール発酵促進。山ブドウは糖分が少ないので、それだけでアルコール発酵をするのが難しい。そこで、黒大豆の酵母を添加して、“がらみ”の発酵をサポートしていた、というわけです。アルコール発酵が科学的に解明されていない時代に、こんな工夫がされていたとは驚きですね。

細川忠利と葡萄酒の歴史

忠利と葡萄酒の関係を時系列でまとめてみました。

<1623年・1625年・1631年>

  • 長崎で甘口の葡萄酒を買い付けてくるよう命じる

<1638年>

  • 病の身体のまま島原の乱に出陣
  • 薬用として葡萄酒を熊本から陣中まで運ばせる
  • 翌年から参勤で江戸に赴くにあたり、葡萄酒を後から江戸に送るよう指示し
  • 長崎商人への注文を最後に、これ以降葡萄酒に関する記述は途絶える

葡萄酒造り・輸入を続けなければならなかった理由

病気がちな忠利にとって、葡萄酒は薬の役割として重要なアイテムだったはず。しかし、忠利は幕府に対する忠臣として名高く、「模範的な大名」という一面を持っていました。それで当時、ご法度であったキリシタンの飲み物である葡萄酒の製造や輸入を続けるわけにはいかなかったようです。忠利の苦悩が忍ばれます。

参考文献

国立大学法人熊本大学(平成30年4月2日)プレスレポート『400年前の国産ワイン醸造の詳細が明らかに -永青文庫史料の研究調査により薬用アヘンの製造も確認-』(国立大学法人熊本大学)」

(おわり)

この記事の著者 / 編集者

田口あきこ

田口あきこ(日本ワインなび編集長)

ホームパーティを開催することが多いことから、より良いおもてなしをするためにワインを学び始める。2015年にワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』のインストラクター養成講座にて講師に抜擢。
2018年春からワイナリー経営者を育成する学校『千曲川ワインアカデミー(長野県東御市)』にてブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、講師業の傍ら、超新規ワイナリーの立ち上げ・畑仕事のお手伝いにも出掛ける。
2020年『日本ワインなび』を開設し、編集長として運営を行う。
ワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』講師紹介ページ
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