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日本ワインはAIで更に美味しくなるか?サッポロ安曇野池田ヴィンヤードでAIを使った取り組み

2019年1月5日

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日本ワインはAIで更に美味しくなるか?サッポロ安曇野池田ヴィンヤードでAIを使った取り組み

http://www.sapporobeer.jp/news_release/0000021664/index.html

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少々古い話になりますが、サッポロ安曇野池田ヴィンヤードでAIを使ってぶどうの品質を上げようという取り組みが行われています。
PSソリューションズ株式会社 の「e-kakashi」というセンサーゲートウェイを使用して気象・土壌のデータを集め、農学系の博士号を持つ研究者が開発に携わったというAIを用いて、最適な作業指示をリアルタイムでフィードバックするというシステムになっています。

 統計情報を使って、目指すべきぶどうの品質(糖度、酸度、タンニン、その他もろもろ)に少しでも近くなるようにその日の作業を決めていくということなんだろうと思いますが、AIで一括りにされても一対何をしているのかわからないので、もう少し詳しいところが知りたいものです。

では、ぶどうとワインの品質について考えてみます。

ぶどうの品質って何だろう?

ぶどうの品質と一言で言ってもどういうワインを目指すかで品質に対する考えも変わってきます。

 テーマとしてはかなり壮大な話になりかねないので、基本事項をここでは簡単に触れます。

ぶどうを表すパラメータには糖度、酸度、タンニン、芳香物質などがありますが、基本的には糖度が一番支配的パラメータとなります。糖分は、アルコール発酵プロセスでアルコールに変化し、ワインに対してはアルコール度数という結果として現れます。 また、糖の蓄積と同時に芳香物質やタンニンの生成蓄積も行われるので糖度=ぶどうの品質と言っても過言ではないです。

アルコールはワインらしい風味をあたえ、さらに(人間が感じる)香り成分の風味を増加させます。アルコールが高いから品質が良いというわけではありませんが、他の成分と連動してワインの質を高めます。

それでは、気候が糖度にどのように影響を及ぼすのでしょうか?

まずは日照時間です。植物は光合成によって糖を生成し・蓄積します。日照時間を記録することは重要です。

反対に生育中の糖の減少を抑える必要もあります。ぶどうの生育期間で夜間の温度が低いほど糖の代謝が減り、結果糖度を高く保てるということで寒暖差の大きい土地が良いぶどうが育つ条件と言われています。夜の気温をしっかりデータとして分析するということは糖度の管理に役立ちます。

ちなみに、近年温暖化のためか、世界のワイン産地ではぶどうの糖度が上がりすぎてアルコール度数も高くなる傾向にあります。

ワインの質って何だろう?

糖度が高ければいいワインなのかといった疑問が出てきますが、そうではありません。

確かにぶどうの糖度が高ければワインとしてはアルコール度数が高く、芳香性、複雑性も高まり、長期熟成に向くワインが出来ます。しかし、糖度が低いからと言って質が低いワインということにもなりません。重たいワインよりも軽くてエレガントなワインを好む人も多いです。

そして当然のことですが長期熟成タイプのワインはリリース前に数年寝かせる必要があるので早期の現金化が難しいという事情があります。立ち上げたばかりのワイナリーでは経営の基盤を早期に固めるために、執るべき戦略というのは自ずと決まります。

土地の特性に合ったぶどう栽培と、目指すべきワインの方向性は密接にかかわってきますので、日本においては、軽めで和食に合うようなエレガントなワインを目指すというのが一つの方向性と言えるのではないでしょうか?